2価および3価のscFv
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 22:12 UTC 版)
「単鎖可変領域フラグメント」の記事における「2価および3価のscFv」の解説
2価(divalent or bivalent)の単鎖可変領域フラグメント(di-scFv、bi-scFv)は、2つのscFvを連結することで設計できる。2つのVH領域と2つのVL領域を持つ単一のペプチド鎖を生成することで、タンデム型scFvを得ることができる。もう一つ考えられるものは、2つの可変領域を一緒に折りたたむには短すぎるリンカーペプチド(約5アミノ酸)を持つscFvを作成し、scFvを強制的に二量体化することである。この種類は二重特異性抗体(英語版)(ダイアボディ、diabody)として知られている。ダイアボディは、対応するscFvよりも解離定数が最大40倍低いことが示されており、これは標的に対する親和性が非常に高いことを意味している。その結果、ダイアボディ薬は、他の治療用抗体よりもはるかに少ない投与量で、生体内の腫瘍を高い特異性で標的にすることができる。さらに短いリンカー(1個または2個のアミノ酸)は、三量体、いわゆるトリアボディ(triabody)やトリボディ(tribody)の形成につながる。四量体であるテトラボディ(Tetrabody)も作られている。それらは標的に対してダイアボディよりもさらに高い親和性を示す。 これらの形式はすべて、2つの異なる抗原に特異性を持つ可変フラグメントから構成でき、その場合、いずれも二重特異性抗体(英語版)の一種である。その中でも最も開発が進んでいるのが、二重特異性T細胞エンゲージャー(英語版)(BiTE抗体構築物)として知られている二重特異性タンデムdi-scFvである。
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