音波伝播への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 03:09 UTC 版)
混合層はサーフェスダクトと称されるサウンドチャネルを形成する。これは海面直下の音速勾配が正の領域により形成されているが、サウンドチャネルの特性として、音線(音の伝播経路)に対して一種のレンズのように働くため、屈折によって鉛直方向に発散しなくなる。すなわち、混合層のなかで発せられた音は混合層のなかにトラップされる。この結果、直接の、すなわち至近距離での音場を超えた距離では、その層の直下の水温躍層内はシャドウゾーンとなり、音線が到達できなくなる。すなわち水温躍層に潜む潜水艦は、サーフェスダクト内のソナーでは探知できないため、混合層下端の深度を知っておくことは対潜戦上重要であり、この深度を特に層深(layer depth)と称する。 また水温躍層の下側でも、水温躍層と深海等温層の境界を音速極小点とするサウンドチャネルが形成されており、これを深海サウンドチャネル(SOFARチャネル)と称する。こちらは海面や海底への反射による音響的損失を生じにくいことから、中程度の音響出力でも非常に長距離の伝搬を期待できるという特性があり、クジラの歌による長距離のコミュニケーションや、SOSUSによる長距離の潜水艦探知に活用されている。
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