非一意性の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/11 06:07 UTC 版)
「ピカール=リンデレーフの定理」の記事における「非一意性の例」の解説
解の一意性を理解するために、次のような例を考えてみよう。微分方程式は停留点(英語版)を持つことができる。例えば、方程式 dy/dt = ay ( a < 0 {\displaystyle a<0} ) の定常解は y(t) = 0 であり、これは初期条件 y(0) = 0 で得られる。別の初期条件 y(0) = y0 ≠ 0 から始まる解 y(t) は停留点に向かっていくが、到達には無限時間を要するので、(全ての有限時間に対する)解の一意性が保証されている。 しかし、有限時間内で定常解に到達するような方程式では、一意性は成立しない。例えば、dy/dt = ay 2/3 という方程式の場合、初期条件 y(0) = 0 に対応する解が y(t) = 0 または y ( t ) = { ( a t 3 ) 3 t < 0 0 t ≥ 0 {\displaystyle y(t)={\begin{cases}\left({\tfrac {at}{3}}\right)^{3}&t<0\\\ \ \ \ 0&t\geq 0\end{cases}}} のように少なくとも2つ存在するため、系の前の状態は t = 0 の後の状態によって一意に決まらない。関数 f (y) = y 2/3 は y = 0 で無限の傾きを持つため、リプシッツ連続ではなく、定理の仮説に反しており、一意性定理は適用されない。
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