集中豪雨によるガリーの形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 00:06 UTC 版)
「岩屋寺の切開」の記事における「集中豪雨によるガリーの形成」の解説
切開のような特異な峡谷地形の成因を考察するうえで、参考になる類似地形としてアロヨがある。「アロヨ、Arroyo (creek)」とは主にアメリカ合衆国南西部の乾燥地帯で使用される地形用語であり、一時的あるいは間歇的に水が流れる小規模な水路(涸れ川)を言い、「未固結の表層を垂直ないし急斜面で切った谷壁をもち、その高さは60センチ以上、深くて平らな谷底をもつ。普段は乾燥しているが、豪雨のあと一時的な流水を見る」と定義されている。 先述した集中豪雨後に見られたガリー(雨裂)の成因は、アロヨの形成過程と似たもので、岩屋寺参道の最上部、岩屋寺本堂直下の標高480メートル付近で確認された。この参道は幅約3メートルほどの未舗装の埋土であって、未固結堆積物ということもできる。新たに生じたガリーは、豪雨によって参道の上流方向から、かすかに残った轍上をなぞるように雨水が流れ下ってきたところに、両側斜面の枯沢が合流する地点から始まっていた。ガリーを計測すると、長さ20メートル、高さと幅はほぼ同じ30センチから70センチあり、垂直な壁を持つ深い溝が、短期間に出来たことになる。要点としては、集中豪雨があったこと、未固結物質で覆われた傾斜面上に水の通り道(轍)が存在していたこと、雨水が合流して急激に水量が増加する地点の存在、これらの条件が備わって一気に深い溝、ガリーが形成されたと考えられた。
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