随伴と普遍性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/02 05:09 UTC 版)
テンソル代数 T(V) はベクトル空間 V 上の自由多元環とも呼ばれ、また V に関して函手的である。他の自由構成(英語版)がそうであるように、函手 T は適当な忘却函手(英語版)の左随伴となる。今の場合、考えるべき忘却函手は各 K-代数をその台となるベクトル空間へ写すものである。 陽に書けば、テンソル代数の普遍性(V を含む最も一般な多元環であることをきちんと述べたもの)は以下のようなものである: テンソル代数の普遍性 K 上の任意の多元環 A と任意の線型写像 f: V → A が与えられたとき、多元環の準同型(英語版) ~f: T(V) → A で f = ~f ∘ i を満たすものが一意的に存在する。 ここに、i: V → T(V) は自然な埋め込み(随伴の単位射)である。したがって、以下の図式 が可換となる。実は、この性質を満たす一意的な多元環としてテンソル代数 T(V) を定義することができる(厳密に言えば一意的な同型を除いて一意)が、それでもこの性質を満たす対象が存在することは示さなければならない。 上記の普遍性は、テンソル代数の構成が自然に「函手的」となることを示している。すなわち、T は K 上のベクトル空間の圏 K-Vect から K-多元環の圏 K-Alg への函手である。T の函手性は任意の線型写像 V → W は多元環の準同型 T(V) → T(W) へ一意的に延長されることを意味する。
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