阿波丸 (初代)とは? わかりやすく解説

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阿波丸 (初代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/15 16:36 UTC 版)

阿波丸
基本情報
船種 貨客船
クラス 若狭丸級貨客船
船籍 大日本帝国
所有者 日本郵船
運用者 日本郵船
建造所 三菱合資会社三菱造船所
母港 東京港/東京都
姉妹船 5隻
信号符字 JBMR[1]
IMO番号 4181(※船舶番号)[1]
建造期間 513日
経歴
起工 1898年6月20日
進水 1899年7月27日
竣工 1899年11月14日
就航 1899年11月[1]
その後 1937年7月解体
要目
総トン数 6,309トン[2]
垂線間長 135.6m[1]
型幅 14.9m[1]
型深さ 10.2m[1]
主機関 三連成レシプロ機関 2基[1]
推進器 2軸
出力 4,080HP[1]
最大速力 14.3ノット[1]
航海速力 13.0ノット
旅客定員 一等:26名
二等:20名
三等:192名[1]
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阿波丸(あわまる)は、日本郵船貨客船。船名は阿波国に由来する[3]。19世紀末に作られた本船は、日本郵船においてこの名前で建造された最初の船だった[4]。2代目が三池丸級貨客船の阿波丸(1943年竣工)である[5]

船歴

日本郵船は欧州航路の創設に伴い13隻(予備船1隻を含む)の新造船を投入することとし[6][7]、その内訳は神奈川丸級貨客船と若狭丸級貨客船をそれぞれ6隻ずつと、予備船の信濃丸を新造することとした[6][8] [9]

阿波丸は若狭丸級貨客船の6番船で[9]三菱合資会社三菱造船所で建造され、1898年6月20日に起工。1899年7月27日に進水し、同年11月14日に竣工した[5]。本船の建造は常陸丸の建造経緯と関係している。同じ三菱造船所が建造した常陸丸がリベット検査の問題で竣工が長引き、第2船として建造が予定されていた信濃丸はイギリスのD・W・ヘンダーソン社(常陸丸の設計会社)に建造を変更した[10]。その予備船として本船が発注された[10]。姉妹船は若狭丸、因幡丸、丹波丸、備後丸、佐渡丸

竣工した阿波丸はさっそく欧州航路に就航したが[11]、1914年までに横浜港シアトルを結ぶ定期便での運航が定着した[12]

1906年12月27日に、イギリス・レッドカー英語版沖のウエストスカー岩礁で座礁した。レッドカーの救命ボート隊員と地元の漁師の活動により、死亡者はなく、18日後に無事に再浮上した。

1914年12月14日に12種類・3020本のサクラの苗木を積んで横浜を出港した航海は、阿波丸の船歴においておそらく最も重要なものだった[13]。傷つきやすい苗木は、シアトルから保温貨車によって北米大陸を横断した。ワシントンD.C.に到着した苗木は、全米桜祭りの起源の一つとなった[14][15]

1930年8月9日、阿波丸は売却されたが、売却先は不明となっている[1]。1937年7月、解撤[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l なつかしい日本の汽船 阿波丸”. 長澤文雄. 2023年10月14日閲覧。
  2. ^ 『七十年史』62ページ
  3. ^ Ponsonby-Fane, Richard. (1935). The Nomenclature of the N.Y.K. Fleet, pp. 8, 80.
  4. ^ Harris, Charles B. (1905). "Shipbuilding at Nagasaki" (December 13, 1899), Monthly consular and trade reports, p. 314.
  5. ^ a b Haworth, R.B. Miramar Ship Index: ID #4049894
  6. ^ a b なつかしい日本の汽船 欧州航路 - 明治後期”. 長澤文雄. 2023年10月13日閲覧。
  7. ^ 『七十年史』61-62ページ
  8. ^ なつかしい日本の汽船 神奈川丸型”. 長澤文雄. 2023年10月13日閲覧。
  9. ^ a b なつかしい日本の汽船 若狭丸型”. 長澤文雄. 2023年10月13日閲覧。
  10. ^ a b 『日本郵船百年史』p.120
  11. ^ Hamilton, Louis. (1908). The English Newspaper Reader. p. 149.
  12. ^ Tate, E. Mowbray. (1986). Transpacific steam: the story of steam navigation from the Pacific Coast of North America to the Far East and the Antipodes, 1867-1941, p. 122.
  13. ^ Constable, Pamela. "Nurturing a Legacy of Fleeting Blossoms and Enduring Bonds", ワシントン・ポスト, April 8, 2007. p. A-1; dbking notes, 1912 shipment of cherry trees.
  14. ^ 尾崎行雄; 原不二子; Marius B, Jansen (2001) (英語). The Autobiography of Ozaki Yukio: The Struggle for Constitutional Government in Japan. プリンストン大学出版局. pp. 231-233 
  15. ^ Archived 2007-02-27 at the Wayback Machine. The English Academy Times (英語アカデミー本部(愛媛県松山市)). 2001年

参考文献




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