近藤勇との対決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 09:50 UTC 版)
国立国会図書館近代デジタルライブラリー『物外和尚逸傳』(高田道見 明治37年)第十武藝 58ページ によれば、物外が京の町を托鉢中、新選組の道場を覗いていたところを隊士が目をつけ、からかい半分で強引に道場に連れ込んだ。ところが、物外は手にした如意で隊士たちを次々に叩き伏せてしまった。「やめろ、やめろ。君たちの手に負える坊様じゃない」と、見ていた近藤勇が出てきた。近藤が名乗って、竹刀での立ち合いを望んだところ、物外は「坊主に竹刀は似合わんでな。如意がいやなら、この椀でお相手つかまつろう」と、ずだ袋から托鉢用の木椀を二つ取り出した。新選組の近藤と聞いてなおこの反応に、ムッとした近藤勇、それならばと槍を取る。物外は右腕を正眼に突き出し、左腕は斜めに振り上げた。指先で一つずつ、木椀の糸底をつまんでいる。「さあ、どこからでも突いておいで」。いくら酔狂な坊主でも抜き身の槍を見れば震え上がるだろうと思っていた近藤のまなじりに、怒気が上ってきた。「ええ、口幅ったいやつだ」。大喝とともに槍をくり出すが、物外、ひょいと身をかわして、突き出された槍のけら首を木椀で挟み込んだ。近藤が引こうが、突こうが、動かばこそ。満身の力を込めて引っぱるところ、機を見て物外が木椀をはずすと、近藤は自分の力で二、三間も後ろへ飛ばされ、道場の床板に尻餅をついたという。
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