講学上の人権侵害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 10:15 UTC 版)
現代の法律学の講学上の定義による「人権侵害」とは、憲法の保障する人権を国家が侵害することをいう。たとえば、正当な理由もしくは手続なしに個人の自由を奪ったり刑罰を与えたりすることを指す。具体的には、適正手続の保障(日本国憲法第31条)、令状主義(同33条)に基づかずに個人の自由を奪う別件逮捕が人権侵害にあたる見方が少なくないという見解がある。 もっとも、日本の最高裁判所が国家権力などによる公権力の行使を違憲と判断した例はきわめて限定的である(違憲審査基準、明白かつ現在の危険などを参照)。このことから、日本の司法は原則として司法消極主義をとり、司法の謙抑性を重視しているともされる。 近時は、自己情報コントロール権などの新たな人権意識の高まりなどから、個人のプライバシーに属する個人情報を正当な目的なく行政機関が保有したり、適正に管理しないことなどが「人権侵害」であるとの見方も生じてきた。これを受けて、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律が制定され、個人情報のずさんな管理は人権侵害(もしくは違法な行為)と見られるようになってきている。
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