記憶固定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/04 15:57 UTC 版)
人間の記憶の理解に対するHMのさらなる貢献として、記憶固定、つまり安定した長期記憶の形成に必要な過程(Eysenck & Keane, 2005)、の神経基盤の理解があげられる。HMは時間により強弱の差がある(temporally graded)逆向性健忘を示しており、彼は"いまだに幼少期のことを思い出せるが、手術の前の数年間のことを思い出すのはたいへん困難であった"(Smith & Kosslyn, 2007, p. 214)。彼の古い記憶は障害されず、手術に近い時点での記憶は障害された。このことは、昔の幼少期の記憶は内側側頭葉に依存しないが、最近の長期記憶は依存することの証拠とされる(Smith & Kosslyn, 2007)。内側側頭葉は、手術により切除された部位であるが、記憶の固定に関与するとされ、"内側側頭葉とさまざまな外側皮質領域との相互作用が内側側頭葉の外で記憶を貯蔵すると考えられ、これは皮質での経験の表象のあいだで直接の結合が生じることで実現される"(Smith & Kosslyn, 2007, p. 214).
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