自立支援医療 (精神通院医療)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/03 11:38 UTC 版)
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自立支援医療(精神通院医療)(じりつしえんいりょう せいしんつういんいりょう)とは、公費負担医療の一部[1]。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく。
事業内容
制度の実施主体は、都道府県又は指定都市。対象者は精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による物質中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む。)を有する者-障害者。で、症状がほとんどなくても状態維持や再発防止目的の通院も対象となっている[2]。
対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれる[3]。
医療費の軽減が受けられる医療の範囲[3]
- 精神疾患・精神障害や、精神障害のために生じた病態に対して、病院又は診療所に入院しないで行われる医療(外来、外来での投薬、デイケア、訪問看護等が含まれまる)が対象となる(※精神障害のために生じた病態とは、精神障害の症状である躁状態、抑うつ状態、幻覚妄想、情動障害、行動障害、残遺状態等によって生じた病態のこと)。
医療費の自己負担[3]
- 公的医療保険で本人の3割の医療費負担を1割に軽減(例:かかった医療費が7,000 円、医療保険による自己負担が2,100 円の場合、本制度により公費で2割(1,400円)穴埋めし、患者の自己負担を700 円に軽減する)。
- 1ヵ月の負担には上限額があり、世帯の所得区分により異なる。
この制度は、都道府県又は政令指定都市が指定した指定医療機関(病院・クリニック・薬局・訪問看護ステーション)のみで利用できる[3]。
指定医療機関は病院・診療所1箇所、調剤薬局1箇所、デイサービス1箇所という風に指定されるが、例外として、うつ病とアルコール依存症で、別々の医師による診療を受けている場合などは、2箇所の病院・診療所、調剤薬局が指定されることがある。
本制度で医療を受けるには、①交付された「自立支援医療受給者証」通称・受給者証(1割支払の時)、②健康保険証又はマイナンバーカード(3割支払の時)を受診の度に社会保険事務所となる指定医療機関に提示する必要がある[3]。自立支援医療受給者証は精神科のクリニックで診断書を3割で作成してもらい、市区町村の窓口に提出して交付してもらう。
自立支援医療受給者証の有効期限は2年、又は1年。支給要件の確認方法を見ながらの更新が必要[3]。 3ヶ月以内の審査請求とは受給者証と障害者手帳の更新手続の事。6か月以内の提起とは支払による制度の利用の事。 自立支援医療受給者証の有効期限が2年の場合、期限切れの後からの申請による交付でもらえるそれは3割の負担になるので診断書(意見書)の提出がもっと必要になる。
所得区分
世帯による市町村税納税額によって、自己負担額に上限を設けている[4]。
所得区分 | 精神通院医療 | 重度かつ継続 |
---|---|---|
一定所得以上 | 対象外 | 20,000円(経過的特例) |
中間所得2 | 20,000円 | 10,000円 |
中間所得1 | 10,000円 | 5,000円 |
低所得2 | 5,000円 | - |
低所得1 | 2,500円 | - |
生活保護 | 0円 | - |
経過的特例の期限
「重度かつ継続の一定所得以上の者で自己負担上限額を2万円とする措置」及び「育成医療の中間所得1(市町村民税課税以上3万3千円未満)の自己負担上限額を5千円とする措置」と「育成医療の中間所得2(市町村民税3万3千円以上23万5千円未満)の自己負担上限額を1万円とする措置」の区分については、令和3年3月31日までの経過的特例となっている[5][6]。
平成27年3月、令和3年(2021年)3月31日までの経過的特例の再延長が発表された[7]。
令和6年3月には令和9年3月31日まで再延長された。
歴史
従前の精神科への通院医療費に対する患者負担は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第32条の「通院医療費公費負担制度」で、本来の健康保険30%の自己負担が、この制度を利用すると、残り25%を公費負担し、患者は診療報酬全体の5%を自己負担で済んだ。地方公共団体によっては、残りの自己負担分も公金で負担し、無料であった[8]。
第163回国会にて成立した障害者自立支援法第5条により、2006年(平成18年)4月より、精神通院医療費の全体の原則10%負担、かつ患者の世帯収入に応じた『応益負担』に変更された。
脚注
出典
- ^ 自立支援医療(精神通院医療)について (PDF) 厚生労働省 2014年1月19日閲覧
- ^ 自立支援医療(精神通院医療)の概要 厚生労働省 2014年1月19日閲覧
- ^ a b c d e f 自立支援医療(精神通院医療)について (PDF) 厚生労働省 2014年2月2日閲覧
- ^ 自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み (PDF) 厚生労働省 2015年2月4日閲覧
- ^ 自立支援医療制度の概要 厚生労働省 2015年2月5日閲覧。
- ^ 自立支援医療(精神通院医療)を利用されている一定所得以上の「世帯」の方へ (PDF) 神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市 2019年4月15日閲覧。
- ^ 自立支援医療(精神通院医療)を利用されている一定所得以上の「世帯」の方へ(経過的特例の延長決定のお知らせ) (PDF) 神奈川県 2019年4月18日観覧。
- ^ 通院医療費公費負担制度 国立病院機構賀茂精神医療センター [リンク切れ]
参考文献
- 通院医療費公費負担制度 - 国立病院機構賀茂精神医療センター[リンク切れ]
- 自立支援医療(精神通院医療)の概要 - 厚生労働省、2011年8月13日閲覧。
- 自立支援医療(精神通院医療)について (PDF) - 厚生労働省、2011年8月13日閲覧。
- 自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み (PDF) - 厚生労働省、2015年2月4日閲覧。
- 自立支援医療(精神通院医療)を利用されている一定所得以上の「世帯」の方へ (PDF) - 神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市、2019年4月15日閲覧。
関連項目
- 日本の精神保健
- 公費負担医療
- 精神障害者保健福祉手帳
- 精神障害
- 知的障害
- 発達障害
- 通院医療費公費負担制度 - 旧制度
外部リンク
- 自立支援医療 - 厚生労働省
- 大分市の認知症デイケア「精神科デイケア」、「重度認知症デイケア」 - 自立支援参考資料
- 自立支援医療(精神通院医療)のページへのリンク