腎臓からの排泄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:43 UTC 版)
腎臓からの薬物の排泄は糸球体での濾過、尿細管からの分泌、尿細管での再吸収によって決まる。糸球体濾過(glomerular filtration)は糸球体毛細血管を介するが、濾過の障壁になるのは内皮細胞、基底膜、スリット膜、上皮細胞である。この透過性は通常の毛細血管と比べると極めて高い。透過機序は静水圧と膠質浸透圧の差によるいわゆる限外濾過であり、濾過量は溶質の大きさと荷電状態によって決まる。透過する物質の大きさは7~10nm程度で、分子量は約5,000のイヌリンは容易に透過するが、分子量約70,000のアルブミンは濾過が制限される。糸球体での薬物濾過は血漿蛋白質の結合度と糸球体濾過量によってきまる。多くの薬物はアルブミンとの結合率が高く、糸球体で濾過されるのは遊離の部分が主になる。近位尿細管では薬物は有機アニオン輸送系あるいは有機カチオン輸送系を介して尿中に尿細管分泌(tubular secretion)される。血漿から尿細管内腔までには尿細管の基底外側膜と管腔側膜の2枚の細胞膜を通過する必要があり、そこに発現するトランスポーター群が輸送を担っている。同一のトランスポーターにより輸送される薬物の分泌は相互に拮抗する。例えば有機アニオン輸送系はプロベネシドにより、有機カチオン輸送系はキニジンにより競合的に拮抗される。また脂溶性薬物は糸球体で濾過された後に尿細管再吸収(tubular rebsorption)が起こる。
※この「腎臓からの排泄」の解説は、「薬物動態学」の解説の一部です。
「腎臓からの排泄」を含む「薬物動態学」の記事については、「薬物動態学」の概要を参照ください。
- 腎臓からの排泄のページへのリンク