脱線係数の安全基準値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 21:27 UTC 版)
路線を走行する車両の脱線係数が具体的にいくらなら安全と判断できるかという安全基準値については、過去にいくつかの基準が提案されてきた。走行試験などで得られた脱線係数の値が、この基準値を下回ることを確認することで、脱線に対する安全性を確認する。 基準値の求め方として、大きく二通りの考え方がある。一つは、ナダルの式に代表される車輪が準静的な力のつり合い状態にあることを仮定して求められるものである。これはせり上がり脱線の形態を前提として、車輪がレールに乗り上がり出す限界時の脱線係数を基準値とするものである。このときの脱線係数を限界脱線係数とも呼ぶ。 一方、脱線係数が限界脱線係数の値を超えたとしても直ちに車輪の乗り上がりが発生するわけではないので、超過が非常に瞬間的であれば脱線に至る危険性は低いと考えられる。走行試験やシミュレーションでも、ある時間以上、あるいは、ある走行距離以上にわたって限界脱線係数を超過しないと脱線しないことが確かめられている。もう一つの基準値は、このような考え方に基づき、脱線係数が限界脱線係数を超過する時間や走行距離を考慮に入れたものである。日本では、超過時間に基づく限界脱線係数の修正を採用しており、跳び上がり脱線に対しても評価できると考えられている。
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