翻訳教室 (柴田元幸)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 翻訳教室 (柴田元幸)の意味・解説 

翻訳教室 (柴田元幸)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/09 13:55 UTC 版)

翻訳教室
Lectures on Literary Translation from English to Japanese
著者 柴田元幸
訳者 柴田元幸、ジェイ・ルービン、ウィリアム・ウィーヴァー、藤本和子
発行日 2006年2月20日[注 1]
発行元 新書館
ジャンル 語学書、文学研究
日本
言語 日本語英語
形態 並製本
ページ数 334
コード ISBN 978-4403210884
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

翻訳教室』(ほんやくきょうしつ)は、柴田元幸の著書[1]。2006年2月20日[注 1](奥付の記載は同年3月5日発行)、新書館より刊行された。2013年4月、朝日文庫として文庫化された[3]

2004年10月から2005年1月にかけて東京大学文学部で行われた「西洋近代語学近代文学演習第1部 翻訳演習」の授業内容を、「ほとんどそのまま文字化したもの」[4]である。

内容

作者 作品 備考
スチュアート・ダイベック Hometown 小冊子『The Story of Mist』(State Street Press、1993年[5])に収められた作品。
バリー・ユアグロー Carp 『I-Mode Stories』(2004年[6])より。
レイモンド・カーヴァー Popular Mechanics [7] 短編集『愛について語るときに我々の語ること』(原書はクノップフ社、1981年4月)に収められた作品。
柴田の訳例のほかに、併せて村上春樹のもともとの翻訳[注 3] THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 2 愛について語るときに我々の語ること』(中央公論社、1990年8月[13][注 4]も、この授業で用いられた。
村上春樹 かえるくん、東京を救う 短編集『神の子どもたちはみな踊る』(新潮社、2000年2月)に収められた作品[注 5]。英訳版 "Super-Frog Saves Tokyo" がテキスト[注 6][注 7]
作品を翻訳したジェイ・ルービンがゲストとして参加している。
特別講座 村上春樹さんを迎えて 本書[1]に掲載された柴田の自筆メモによれば、村上春樹の参加日は2004年11月15日[注 9]
「僕は文章の書き方を誰にも習わなかった。だから、文章は音楽からしか学んでないです」と村上は述べている[21]
イタロ・カルヴィーノ 英語: Invisible Cities
(イタリア語: Le città invisibili)
イタリアの小説家イタロ・カルヴィーノの "Le città invisibili" のがテキスト。翻訳はウィリアム・ウィーバー英語版[22]
アーネスト・ヘミングウェイ In Our Time 1924年にパリで出版された、タイトルがすべて小文字の超短編 "in our time" がテキスト[注 10]。ヘミングウェイは1925年にこれを元に短編集『In Our Time』を刊行している。
ローレンス・ウェシュラー Inhaling the Spore ジャーナリストのローレンス・ウェシュラーが1995年に刊行した『Mr. Wilson's Cabinet of Wonder[注 11]の一節がテキスト。
リチャード・ブローティガン Pacific Radio Fire 短編集『Revenge of the Lawn』(サイモン&シュスター、1971年)[注 12]に収められた作品。
ブローティガンの作品のほとんどを訳した藤本和子について、柴田はこう述べている。「ブローティガンは、日本の翻訳史上でも大きな存在だと思います」「この藤本さんの翻訳がすごかった。とにかく翻訳でこんな活きた言葉があるのかと思いました。このあとに出てきたアメリカ文学の翻訳者というと、青山南さん、斎藤英治さん、岸本佐知子さん、それからもちろん村上春樹さんなどになると思います。そういった人たちがみんな、藤本さんの訳文の影響下にあると言って間違いないですね」[26][注 13]
レベッカ・ブラウン Heaven 短編集『The End of Youth』(City Lights、2003年)[注 14]に収められた作品。

脚注

注釈

  1. ^ a b 発行の日付は新書館の公式サイト[2]による。
  2. ^ 「ある日常的力学」の評価は各媒体[8][9][10][11][12]が載せた。
  3. ^ 村上は原作 "Popular Mechanics" を「ある日常的力学」[注 2]という題で訳した。
  4. ^ 『愛について……』[13]ほか、『ささやかだけれど、役にたつこと』[7]に収録。
  5. ^ 英語学教材として評価[14][15]が試みられた。
  6. ^ 英訳版 "Super-Frog Saves Tokyo" は雑誌『GQ』2002年6月号に初出。ほどなくして短編小説集『after the quake』(英語版)(クノプフ、2002年8月[16])に収められた。
  7. ^ "Super-Frog Saves Tokyo"NHKラジオ第2の語学番組「英語で読む村上春樹」の教材に用いられた[要出典]
  8. ^ 『翻訳夜話』紹介文を各誌[17][18][19][20]が掲載。
  9. ^ 村上春樹は、それ以前の柴田の翻訳ワークショップ(1996年11月、東京大学教養学部)にも参加している。当時の柴田と村上の対談は『翻訳夜話』(文藝春秋、2000年10月)[注 8]に収載。
  10. ^ 柴田は2010年5月、"in our time"ヴィレッジブックスから翻訳出版した[23]
  11. ^ 同書は『ウィルソン氏の驚異の陳列室』(みすず書房、1998年11月、大神田丈二訳)という題で邦訳が出ている[24]
  12. ^ 邦訳あり[25]
  13. ^ 単行本版[1]。新書版[3]
  14. ^ 書籍版[27]に加えて電子書籍あり[28]

出典

  1. ^ a b c 柴田 2006, pp. 276–277.
  2. ^ 書籍 詳細ページ > 翻訳教室”. 新書館. 2014年11月19日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ a b 『翻訳教室』朝日新聞出版〈朝日文庫, [し24-2]〉、2013年。OCLC 838332294ISBN 9784022646644, 4022646640 
  4. ^ 柴田 2006, p. 5.
  5. ^ Dybek, Stuart (1993) (英語). The story of mist. State Street Press chapbooks. Brockport, NY: State Street Press. OCLC 30790972 28頁、22 cm。
  6. ^ Yourgrau, Barry、柴田元幸「鯉」『ケータイ・ストーリーズ | I-Mode Stories』新潮社、2005年。 OCLC 65472776ISBN 9784105334031, 4105334034。「注記:〈新潮ケータイ文庫〉で2004年1月から7月まで配信されたもの。」 158頁、20 cm。
  7. ^ a b レイモンド・カーヴァー 著、村上春樹 訳「ある日常的力学」『ささやかだけれど、役にたつこと』中央公論社、1989年4月。NDLJP:13614079。「短篇集『愛について語るときに我々の語ること』より」 
  8. ^ 『ユリイカ』第21巻8(通号281号)、青土社、1989年6月、(コマ番号:131 コマ、132 コマ)、 ISSN 1342-5641NDLJP:7936186 
  9. ^ 『文學界』第43巻第8号、文藝春秋、1989年8月、(コマ番号:132 コマ、133 コマ)、 ISSN 0525-1877NDLJP:7926303 
  10. ^ 『海燕』第15巻第9号、ベネッセコーポレーション [編]、1996年9月、(コマ番号:33)、 ISSN 0288-0520NDLJP:2297835 
  11. ^ 『國文學 : 解釈と教材の研究』第43巻3(通号624号)、學燈社 [編]、1998年2月、(コマ番号:104)、 ISSN 0452-3016NDLJP:8099668 
  12. ^ 『建築文化』第53巻第626号、彰国社、1998年12月、(コマ番号:180)、 ISSN 0003-8490NDLJP:6057489 
  13. ^ a b レイモンド・カーヴァー 著、村上春樹 訳「ある日常的力学」『愛について語るときに我々の語ること』中央公論社、1990年8月。NDLJP:13614283 
  14. ^ 寺西雅之、金谷和香、鎌田那奈、竹野 朝美「【研究ノート】英語学習教材としてのジェイン・オースティン : Sense and Sensibilityの複数のテクスト分析から」(PDF)『JAILA journal』第4号、日本国際教養学会、2018年3月、97-109頁、 ISSN 2189-4183NDLJP:11338653 
  15. ^ Shikoda, Sachiko (2018-03). “Practices and perceptions of literature circles in the EFL classroom” (PDF). JAILA journal (日本国際教養学会) (4). ISSN 2189-4183. NDLJP:11338654. https://jaila.org/journal/articles/vol004_2018/journal_vol4_2018.html. 
  16. ^ (英語). (August 13, 2002-08-13). ISBN 0-375-41390-1. OCLC 43797498 
  17. ^ 『週刊宝石』第20巻42(通号918号)、光文社、2000年11月、(コマ番号:78)。 
  18. ^ 『サンデー毎日』第79巻54(通号4410号)、毎日新聞出版、2000年11月、(コマ番号:53)。 
  19. ^ 『サンデー毎日』第79巻55(通号4411)、毎日新聞出版、2000年11月、(コマ番号:53)。 
  20. ^ 『サンデー毎日』第79巻57(通号4413)、毎日新聞出版、2000年12月、(コマ番号:52)。 
  21. ^ 柴田 2006, p. 164.
  22. ^ Davenport, Guy (1975). “Review of Invisible Cities” (英語). The Georgia Review 29 (2): 499-501. ISSN 0016-8386. https://www.jstor.org/stable/41397193. 
  23. ^ in our time”. ヴィレッジブックス. 2025年7月2日閲覧。
  24. ^ ローレンス・ウェシュラー『ウィルソン氏の驚異の陳列室』みすず書房、1998年11月。 ISBN 4-622-04649-0NDLJP:14182051 
  25. ^ Richard, Brautigan 著、藤本和子 訳『芝生の復讐』晶文社、1976年、276-277頁。 NCID BN07466452 
  26. ^ 柴田 2006, pp. 276–277.
  27. ^ Brown, Rebecca (2003). “Heaven” (英語). The End of Youth. San Francisco: City Lights. OCLC 51086160. ISBN 9780872864184, 0872864189 
  28. ^ Brown, Rebecca (2021) (英語). The End of Youth (電子書籍 ed.). La Vergne: City Lights Publishers. OCLC 1281969250. ISBN 9780872868649, 0872868648. http://public.eblib.com/choice/PublicFullRecord.aspx?p=6739015 

参考文献

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「翻訳教室 (柴田元幸)」の関連用語

翻訳教室 (柴田元幸)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



翻訳教室 (柴田元幸)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの翻訳教室 (柴田元幸) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS