線形性と有界性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 07:17 UTC 版)
ノルム空間のあいだの全ての線形作用素が有界であるというわけではない。X を、[−π, π] 上で定義されるすべての三角多項式 P からなる空間とし、そのノルムを ‖ P ‖ := ∫ − π π | P ( x ) | d x {\displaystyle \|P\|:=\int _{-\pi }^{\pi }\!|P(x)|\,dx} で定める。L:X→X を、微分を行うような作用素、すなわち、多項式 P をその微分 P′ へと写すような作用素として定義する。このとき v := e i n x , n ∈ N {\displaystyle v:=e^{inx},\quad n\in \mathbb {N} } に対して ‖ v ‖ = 2 π {\displaystyle \|v\|=2\pi } を得るが、一方で ‖ L ( v ) ‖ = 2 π n → ∞ as n → ∞ {\displaystyle \|L(v)\|=2\pi n\to \infty \ {\text{as }}n\to \infty } となるため、この作用素 L は有界でないことが分かる。 これは特殊な例というわけではなく、むしろ一般的な法則から考え出すことのできる例の内の一つである。有限次元のノルム空間上で定義される線形作用素であればどのようなものでも有界である。しかし、無限次元のノルム空間 X と Y で、さらに Y がゼロ空間でないのであれば、X から Y への線形作用素で不連続であるようなものを見つけることが出来る。 上述のような、微分するだけのような基本的な作用素でも有界でないという例は、研究をより困難なものとする。しかし、もしその定義域と値域を注意して定めれば、それは閉作用素となる場合がある。閉作用素は有界作用素よりも一般的なものである。
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