社会的選好ではなく社会的選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 16:47 UTC 版)
「アローの不可能性定理」の記事における「社会的選好ではなく社会的選択」の解説
社会的な意思決定においては、全ての選択肢について順序付けを得ることは普通は目的ではなく、何らかの選択肢を選べば済むことが多い。このアプローチは、選好プロファイルを選択肢へ移す「社会的選択関数」か、または選好プロファイルを選択肢の部分集合に移す「社会的選択ルール」を考察の対象とする。社会的選択関数についてはギバード=サタースウェイトの定理がよく知られている。これは3つ以上の選択肢を値域に含む社会的選択関数が戦略に影響されないなら、その関数は独裁的であることを示している。 社会的選択ルールについては、その背後に、ある社会的選好が存在すると仮定する必要がある。つまり、何らかの社会的選好による極大要素 (「最良の」選択肢) を選択するルールを考える。ある社会的選好による極大要素の集合を「コア」と呼ぶ。コアの中に選択肢が存在するための条件について、これまで2つのアプローチによって調べられてきた。第一のアプローチは、選好が少なくとも非循環的であること (これは選好が任意の有限な部分集合上で極大要素を持つための必要十分条件である) を仮定する。このため推移性の緩和と密接に関連する。 もうひとつのアプローチは非循環的な選好の仮定を捨てる。Kumabe & Mihara (2010)はこちらを採用している。その中では、より直接的に個人の選好が極大要素を持つと仮定した上で、社会的選好が極大要素を持つための条件を検証している。これら2つのアプローチの詳細については中村ナンバーを参照のこと。
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