石橋 (レーゲンスブルク)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 石橋 (レーゲンスブルク)の意味・解説 

石橋 (レーゲンスブルク)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/18 02:04 UTC 版)

石橋
Steinerne Brücke
石橋
基本情報
ドイツ
所在地

レーゲンスブルク

交差物件 ドナウ川
着工 1135年
竣工 1146年
座標 北緯49度1分18.4秒 東経12度5分50.2秒 / 北緯49.021778度 東経12.097278度 / 49.021778; 12.097278座標: 北緯49度1分18.4秒 東経12度5分50.2秒 / 北緯49.021778度 東経12.097278度 / 49.021778; 12.097278
構造諸元
形式 アーチ橋
材料
全長 308.70 m
約 8 m
最大支間長 16.70 m
地図
石橋の位置
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
テンプレートを表示

石橋[1][2](いしばし、: Stone Bridge)またはシュタイネルネ・ブリュッケ[3]: Steinerne Brücke)は、ドイツバイエルン州レーゲンスブルクにある橋である[4]シュタイナーネ橋[5]とも表記される。

2006年に登録された世界遺産レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフの登録範囲に含まれている[6]

概要

ドナウ川に架橋されているアーチ橋であり[7][1]、川の右岸の旧市街と、左岸のシュタットアムホーフ (Stadtamhof) 地区とをつないでいる[8][9]

1135年に建設工事が開始され、1146年に完成された石橋である[1]。ドイツに現存する石橋の中で、最も長い歴史をもつ[5]。橋の長さは 308.70 メートルであり、幅員はおよそ 8 メートルであり、アーチの数は15である[10]。スパン長は 10.20 メートルから 16.70 メートルである[10]。完成当時は、全長が 336 メートルで、アーチの数は16であった[10]。16番目のアーチは、1487年にザルツシュターデル (de:Salzstadel (Regensburg)) の建設に伴って埋められた[8][11]

この橋は、チェコ・プラハのカレル橋など数々の橋のモデルになっている[1][3]。また、文化財保護の指定を受けている[12]。1189年5月、神聖ローマ皇帝、フリードリヒ1世は、この橋から第3回十字軍を統率して出発した[1]

橋の中央部には、「橋の小人」 (Brückenmännchen) と呼ばれる石造の像が設置されている。この像は、橋の南側にあるレーゲンスブルク大聖堂 (de:Regensburger Dom) のほうを向いており[7][8]自由都市の権利の象徴であるとされている[13]。一方、グリム兄弟 『ドイツ伝説集』第3巻、第34番「石の小人」(≫Das steinerne Männlein≪)(17世紀の写本から)は、橋の上に大小2体の石像があるが、小さい方は、ドナウ川の冷たい水を浴びてきたような裸の小人が手をかざして大聖堂を見つめ、いつあれは完成するのかと問いたげだ。大きい方は、闘鶏を描いているが、大聖堂建設の親方と橋の建設の親方の争いを表わしていると伝えている[14]

ところで、グリム兄弟『ドイツ伝説集』に紹介されている、夢を信じてレーゲンスブルクに行き、その橋の上で幸運をつかんだ男の話は、この石橋を舞台とする伝説であろう。男が橋の上にいると、裕福な商人がやってくる。「何を探しているのか」と訊かれた男は、「レーゲンスブルクの橋に行けば、金持ちになれるという夢を見た」と。商人「夢を信じるとは、どういうことか。わしはあの大木の下にお金の入った大鍋が埋められているという夢を見たが、全然気にしていないぞ。夢なんて絵空事だからな」。男はその木のところに行き、宝を掘り当て裕福になったと[15]

橋の南端には、1本の塔が建っているが、建設された当初は、橋の中央部と北端および南端に1本ずつ、計3本の塔が建てられていた[16][17]

「「石の橋」の下はかなりの難所で、上流側と下流側では1メートル以上の落差があり、とくに流れが速い。下流側には渦が発生して、「ドナウの渦」(ドーナウ シュトゥル-デル)と恐れられた」(末永豊)[18]1750年以来今も歌われている、ドイツ学生歌「先頃レーゲンスブルクにいた時」(≫Als wir jüngst in Regensburg waren≪)(「ドナウの渦巻」)は、この渦をモチーフにしている [19]

この橋の建設により北フランスからドナウ諸国への商品流通が、ヴォルムス―ヴィムプフェン―パッサウの街道からヴュルツブルクニュルンベルク―レーゲンスブルクの街道へと移った[20]

周辺

下流には、アイゼルネ橋 (de:Eiserne Brücke (Regensburg)) が架かっている[2][8]。橋の南端にあるブリュッケントゥルム博物館 (Brückturm-Museum) は、2000年に創設されたもので、橋の建設期間に関する文献が収蔵されている[8][17]

橋の南端から東へ50メートルほど行ったところには、ヒストーリッシェ・ヴルストクッフルという老舗の焼きソーセージ専門店がある[21]。橋の南側には、旧市庁舎 (de:Altes Rathaus (Regensburg)) や歴史博物館 (de:Historisches Museum Regensburg) やトゥルン・ウント・タクシス城 (de:Schloss St. Emmeram) などがある[2][8]

橋の北側には、旧聖カタリナ慈善病院 (de:Spitalkirche St. Katharina (Regensburg))[5] やカトリック教会音楽教育大学 (de:Hochschule für Katholische Kirchenmusik und Musikpädagogik Regensburg) [22]などがある。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e 中世の驚異的作品:石橋”. ドイツ観光局. 2019年8月10日閲覧。
  2. ^ a b c 『地球の歩き方 南ドイツ』 2017, p. 261.
  3. ^ a b 増田幸弘. “カレル橋の彫像”. 中日新聞社. 2019年8月10日閲覧。
  4. ^ レーゲンスブルク-ドイツで最も保存状態の良い中世の町 (Regensburg)”. バイエルン州観光局. 2019年8月10日閲覧。
  5. ^ a b c レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ 世界遺産詳解の解説”. コトバンク. 2019年8月10日閲覧。
  6. ^ Old town of Regensburg with Stadtamhof”. 世界遺産センター. 2019年8月10日閲覧。
  7. ^ a b レーゲンスブルク/ ドイツ”. 日本放送協会. 2019年8月10日閲覧。
  8. ^ a b c d e f ダイジェスト”. レーゲンスブルク. 2019年8月10日閲覧。
  9. ^ 金澤寛・木村和正・村田浩隆. “北欧、ドイツ北部の港湾を訪ねて”. 一般社団法人 ウォーターフロント協会. 2019年8月10日閲覧。
  10. ^ a b c Zerstörungsarme Untersuchungen an der Steinernen Brücke in Regensburg”. ドイツ非破壊検査協会. 2019年8月10日閲覧。
  11. ^ HELLO TOURIST, LET ME BE YOUR GUIDE”. レーゲンスブルク大学. 2019年8月10日閲覧。
  12. ^ ドイツ観光局 [@GermanyTravelJP] (2018年7月26日). "2018年7月26日のツイート" (ツイート). Twitterより2019年8月10日閲覧
  13. ^ Discover Regensburg”. Stadtmarketing Regensburg. 2019年8月10日閲覧。
  14. ^ Brüder Grimm: Deutsche Sagen. Bd. 3. Herausgegeben von Barbara Kindermnn-Bieri. München: Diederichs 1993 (ISBN 3-424-01177-0), Nr. 34 (S. 50).
  15. ^ Brüder Grimm: Deutsche Sagen. Bd. 1. Herausgegeben von Hans-Jörg Uther. München: Diederichs 1993 (ISBN 3-424-01177-0), Nr. 212. ≫Der Traum vom Schatz auf der Brücke≪(S. 193-194).
  16. ^ ユネスコ世界遺産 「レーゲンスブルク旧市街とシュタットアムホーフ地区」”. レーゲンスブルク. 2019年8月10日閲覧。
  17. ^ a b BRIDGE TOWER MUSEUM REGENSBURG”. ドナウ船舶博物館. 2019年8月10日閲覧。
  18. ^ 柏木貴久子 ・ 松尾誠之・ 末永豊『南ドイツの川と町』三修社 2009 (ISBN 978-4-384-04187-3)、182頁。
  19. ^ 武田昭『歴史的にみた――ドイツ民謡』東洋出版 1979年1月、102頁。- 原俊彦・滝本裕造編『ドイツ民謡選』三修社 1965年、第7版1980年、44-46、104-105頁。- ルドルフ・プロット/米沢充/中尾光延編『ドイツ民謡30選』同学社 1980年、48-49頁。- Waldseer Liederbuch. Herausgegeben von der Schwäbischen Bauernschule Waldsee. Verlag Schwäbischer Bauer, Ravensburg, Germany, 1987, S. 200-201.
  20. ^ 阿部謹也『中世を旅する人びと: ヨーロッパ庶民生活点描』平凡社 1978年、29頁。
  21. ^ 『地球の歩き方 南ドイツ』 2017, p. 260 - 262.
  22. ^ 吉村美佳 (2016年1月). “レーゲンスブルク便り”. 朝日出版社. 2019年8月10日閲覧。

参考文献

  • 地球の歩き方編集室 『地球の歩き方 2017〜18 南ドイツ』ダイヤモンド・ビッグ社、2017年6月。 ISBN 978-4-478-06056-8 
  • 末永 豊「ドナウ川」〔柏木貴久子 ・ 松尾誠之・ 末永 豊『南ドイツの川と町』三修社 2009 (ISBN 978-4-384-04187-3)、85-220頁、レーゲンスブルク、特に「石橋」については:169-187頁〕

外部リンク


「石橋 (レーゲンスブルク)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「石橋 (レーゲンスブルク)」の関連用語

石橋 (レーゲンスブルク)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



石橋 (レーゲンスブルク)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの石橋 (レーゲンスブルク) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS