現存在の基礎分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 21:10 UTC 版)
ハイデッガーは、現存在の本質は「実存」(Existenz)にあり、また、各自が人称をもって区別されるという各自性を有しており、決して客体的存在者の類としてとらえることはできないという。そこから彼は存在者としての現存在の在り方について、本来的なものと非本来的なものの二重の意味があるとする。彼によれば、このような本質を有するがゆえに、存在者としての人間は、いつも可能性として自分を選び取って本来的な自分を獲得し、あるいはみかけだけの自分を得て非本来的な在り方として自分を失うということもあり得るのである。そこで、われわれは、存在者について存在論的に解釈するためには、実存の実存性を出発点としなければならないのである。また、彼は、哲学的に「人間とは何であるか」という問いを解明するためには、それに必要な「アプリオリ」な原理を明らかにしておかなければならないと主張する(第1篇第1章9節)。
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