渡航禁止(とこうきんし)
海外の危険な地域に日本国民が入ることについて、政府が命令など法的拘束力のある手段によって禁止すること。現在のところ、渡航禁止は憲法上の制約からできない。
日本国憲法では、海外渡航の自由が保障されている。すなわち、日本国民には、どこに住み、どこに行くのかという自由がある。したがって、政府は、特定の地域に入ることを禁止したり、退去を命令したりすることができない。
一方、政府には日本国民の安全を守る義務がある。危険地域に入るということに対する責任は本人にあるものの、危険地域における問題が発生した場合には、最大限の努力をもって救助にあたらなければならない。
そのため、政府は退避勧告を出すなど、海外の危険地域に関する情報を提供している。しかし、法的拘束力をともなわない勧告にとどまっているため、本人の意思に逆らってまで渡航を禁止することはできない。
イラクで日本人が武装集団に拘束された事件を受けて、渡航禁止を法律によって制度化しようとする議論が出てきた。
(2004.04.19掲載)
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