混合器 (ヘテロダイン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 20:35 UTC 版)
アナログ乗算器としての混合器(こんごうき)とは、2つの異なる周波数成分
2 つの信号源を両方ともトランジスタのベース端子に入力する方式である。
利点は、入力信号
2 つの信号のうち 1 つ(
2 つの信号のうち 1 つ(
局部発振器からの信号 LO または RF信号のどちらか入力の片方だけが IF 出力で抑制されるような混合器(ミキサ)を、シングル・バランスド・ミキサと呼ぶ。
入力の片方をバランス(差動)回路とすることで、アンバランス・ミキサよりも、端子間のアイソレーションが改善される。
トランジスタを用いた能動型シングル・バランスド・ミキサのほかにも、ダイオードを2つ用いた受動型シングル・バランスド・ミキサ[4][5]もある。
ダブル・バランスド・ミキサ
ダブル・バランスド・ミキサ (double balanced mixer:DBM)とは二重平衡変調器ともいう。 局部発振器からの信号 LO と、RF信号のどちらの入力信号も IF には抑圧されて出力されず、積信号のみが出力される混合器(ミキサ)を ダブル・バランスド・ミキサ と呼ぶ。
ダイオード ダブル・バランスド・ミキサ

ダイオード ダブル・バランスド・ミキサ は 4 本のダイオードと 2 つの高周波トランスとで構成され[5][6]、 リング変調回路 とも呼ばれる[7][8]。 図のように信号
ダイオードと高周波トランスとで構成されたダブル・バランスド・ミキサ以外に、集積回路でダブル・バランスド・ミキサを実装した素子もある[13][14][15]。アナログ乗算器(差動増幅回路)で構成されたギルバートセル型のものが、集積回路上でダブル・バランスド・ミキサを実装する場合に多く用いられる。シングル・バランスド・ミキサよりもさらにアイソレーションが改善され、集積回路上のレイアウト(素子の配置・配線)を注意することにより 40dB~60dB の分離が可能である[16]。ギルバートセル型以外にも、電位差測定型ミキサ[17][18]や、抵抗とCMOSスイッチによる受動型ミキサ[19]などのダブル・バランスド・ミキサを集積回路で実装することができる。
ダイオード・ミキサ

ダイオードを1個使用して混合器を構成することもできる[5]。 このミキサは、高周波トランス(バラン)がないため、広帯域で周波数のあばれが少ないが、RFポートとLOポートのアイソレーションが悪いので、内部機器ではほとんど使われない[20]。
アナログスイッチを用いたミキサ
アナログスイッチIC(4066等)を用い、局部発振回路の発振周波数(f2[Hz])の信号をスイッチを制御する入力に入れ、スイッチされる入出力端子にRF信号(f1[Hz])を通すことで、混合された信号(f1±f2[Hz])を出力する。[21]
参照
- ^ 黒田忠広監訳「RFマイクロエレクトロニクス」 p.201 丸善 2002 ISBN 4-621-07005-3
- ^ 堀桂太郎著「アナログ電子回路の基礎」p.117 東京電機大学出版局 2003 ISBN 4-501-32290-X
- ^ a b 黒田忠広監訳「RFマイクロエレクトロニクス」 p.205 丸善 2002 ISBN 4-621-07005-3
- ^ Renesus ショットキーバリアダイオード
- ^ a b c d 高周波回路教室 パッシブ・ミキサ
- ^ DBMの動作原理を知る
- ^ 無線工学の基礎 リング変調回路の構成
- ^ 電子情報通信学会編 「通信方式」p.87 コロナ社 1985 ISBN 4-339-00032-9
- ^ R&K社 DBM
- ^ Mini-Circuits DBM ADE-1を使った汎用DBMの製作
- ^ TDK DBM CB3034Mを使った汎用DBMの製作
- ^ DOUBLE BALANCED MIXERS AND BALUNS
- ^ OnSemi MC1496 Datasheet
- ^ US Patent 6,275,688
- ^ Canadian Patent CA 2323023
- ^ Thomas H.Lee "The Design of CMOS Radio-Frequency Integrated Circuit" Second Edition p.420, Cambridge University Press, 2004, ISBN 978-0-521-83539-8
- ^ 英: potentiometric mixer
- ^ トーマス・H・リー著、「The Design of CMOS Radio-Frequency Integrated Circuit」、第二版、p.427、ケンブリッジ大学出版局、2004年、ISBN 978-0-521-83539-8
- ^ トーマス・H・リー著、「The Design of CMOS Radio-Frequency Integrated Circuit」、第二版、p.429、ケンブリッジ大学出版局、2004年、ISBN 978-0-521-83539-8
- ^ 森栄二著「マイクロウェーブ技術入門講座 基礎編」p.387 CQ出版 2003 ISBN 4-7898-3040-3
- ^ JH2CLVによる作例 http://www5a.biglobe.ne.jp/~jh2clv/dbm3making.htm
参考文献
- 桜井紀佳『RF デザインシリーズ 実験して学ぶ高周波回路』 CQ 出版社、2003年12月15日、pp. 83-96、ISBN 4-7898-3042-X。
外部リンク
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