汗国とは? わかりやすく解説

かん‐こく【汗国】

読み方:かんこく

ハン国


汗国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 04:30 UTC 版)

汗国(かんこく、ハンこく、Khanate)は、(カン、ハン、qan)[1]を君主とする君主国を指す用語である。君主号としての「ハン」「ハーン」はモンゴル高原から中央アジアを中心とした、テュルク系およびモンゴル系遊牧民王朝でよく用いられたが、モンゴル帝国時代以降、ジョチ・ウルス崩壊の影響を受けて、中央アジア以西のキプチャク草原ルーシカフカス(コーカサス)などの地域にも広がった。

概要

君主号としての汗

「カン/ハン(qan)」は「皇帝」という意味の「カガン/カアン/ハーン(qaγan)」とは違い、皇帝より格下の「王」という意味である。モンゴル帝国では皇帝号(カアン)を帯びる元朝以外の政権(ジョチ・ウルス、チャガタイ・ウルスフレグ・ウルスなど)は汗号(カン)を用いた。

モンゴルのウルス

チンギス・カンが率いるモンゴル帝国が勃興すると、第2代カンのオゴデイは他のカンから卓越した存在として「カアン(ハーン)」を称することになる。しかし広大すぎた版図をまとめることは難しく、朝を盟主とする緩やかな連合として3つのハン国に分裂した。なお、現在ではこの「元と3ハン国の分裂」という理解は、実情を反映したものとはいえないとして、大元ウルス、フレグ・ウルス、ジョチ・ウルス、チャガタイ・ウルスなど「ウルス」(モンゴル語で「人々」「国家」の意)と呼ばれることも多い。

モンゴル帝国以後

分裂しおのおの独自の発展を遂げたウルスも14世紀には衰退し、それぞれ滅亡の道を歩む。しかし、ハンを君主とする伝統は、その後もテュルク系・モンゴル族系の遊牧民継承国家に受け継がれた例が多い。特にロシアを地盤としたキプチャク・ハン国(黄金のオルド)崩壊後の後継国家に著しい(なお、ロシア側からはモンゴル支配を「タタールのくびき」と呼ぶ)。また、中央アジアからモンゴルの故地においては、カアンの位はチンギス・カンの血統(ボルジギン氏)を受け継いだ人間のみが就くことができるという、チンギス統原理の観念が共有された。ただし、例外としてチンギスの血統を受けていないオイラトエセン・ハーンなどの例もある。

各地において建国されたハン国は、ロシア帝国やイスラム諸王朝に吸収されていったが、遅くは20世紀まで存続した(ヒヴァ・ハン国など)。

主なカン/ハン国

モンゴル以前

モンゴル帝国時代

チャガタイ・ハン国の後継王朝

ジョチ・ウルスの後継王朝

ルーシ

脚注

  1. ^ 可汗、カガン、カアン、ハーン(qaγan)は別。

関連項目


汗国

出典:『Wiktionary』 (2021/08/07 06:35 UTC 版)

名詞

 かんこくはんこく

  1. 世界史》 テュルクモンゴル民族国家における君主国(wp)帝国場合大汗という。

語源

テュルク・モンゴル諸語支配者を表すハーン (wp)khan)の音訳可汗」(後に「汗」)が治める国から。

翻訳



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「汗国」の関連用語

汗国のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



汗国のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの汗国 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの汗国 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS