正統派の学風
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 22:53 UTC 版)
梁啓超によれば、清朝考証学の正統派は以下のような学風をもつ。 一.およそ一つの解釈をおこなうには、必ず証拠による。証拠なくして憶測するというのは、断固として排斥するところである。 二.証拠を選択するには、古えを尊ぶ。漢・唐の証拠によって宋・明を批判するが、宋・明の証拠によっては漢・唐を批判することをしない。漢・魏によって唐を批判してよく、漢によって魏・晋を批判してよく、先秦・前漢によって後漢を批判してよろしい。経によって経にを証明すれば、すべての経伝を批判してよろしい。 三.一つの証拠によって定説とはしない。反証のないものはしばらくおいて、続証を得てはじめて信用する。有力な反証にあえば放棄する。 四.証拠を隠匿すること、あるいは証拠を曲解することを、すべて不徳と考える。 五.同類の事項をならべて比較研究し、その方法をもとめることをもっともよろこぶ。 六.従来の学説を採用したばあいには、必ず明記し、剽窃を大なる不徳と考える。 七.意見があわなければ、たがいに論争する。弟子が師を反駁非難することをも辞さない。受けてたつ者も、それを師にさからうこととはけっして考えなかった。 八.論難は、ある問題を範囲として設定し、温厚篤実なる言葉を用いるようにする。自己の意見をまげることはけっしてしないが、同時に、他人の意見をも尊重する。いたけだかにやっつけたり、つまらぬことでひっかけたり、暗に皮肉を言ったりすることを不徳と考える。 九.専門的に一つの事を研究し、「搾く、かつ深く」研究することをよろこぶ。 十.素朴、簡潔なる文体を貴び、「言葉に枝葉ある」ことをもっときらう。
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