有限体を経由した証明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/04/23 07:12 UTC 版)
「アックス–グロタンディークの定理」の記事における「有限体を経由した証明」の解説
グロタンディークによる定理の証明は有限体とその代数的閉包に対する同様の定理を証明することに基づいている。つまり、それ自身有限であるかまたは有限体の閉包であるような任意の体 F に対して、Fn から自身への多項式写像 P が単射ならば全射である。 F が有限体であれば、Fn は有限である。この場合定理は自明な理由によって正しい。多項式関数に限らず、有限集合からそれ自身への任意の単射は全射である。F が有限体の代数的閉包であるとき、結果はヒルベルトの零点定理から従う。それゆえ複素数に対するアックス–グロタンディークの定理は、C 上の反例が仮にあったとすればそれから有限体上のある代数拡大における反例が出ることを示すことによって証明できる。 証明のこの手法は次の点において注目すべきである。それは標数 0 の体における finitistic(英語版) な代数的関係が、標数の大きい有限体上の代数的関係に翻訳される、というアイデアの例である。したがって、有限体の算術を C についてのステートメントを証明するために使うことができる。どんな有限体からも C への準同型が存在しないにも関わらずだ。それゆえ証明は多項式についての初等的なステートメントを証明するのにモデル理論的な原理を使う。一般のケースに対する証明も同様の手法を使う。
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