有向部分集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/31 01:45 UTC 版)
有向集合における順序関係は、反対称であることを要求されないから、従って有向集合は必ずしも半順序ではない。しかし「有向集合」という用語を半順序集合の文脈で用いることも多く、その場合に半順序集合 (P, ≤) の部分集合 A が有向部分集合 (directed subset) であるというのを、P における順序によって A 自身が有向集合となることと定める。言い換えれば、有向部分集合とは、空でない部分集合で、任意の二元が上界を持つものをいう(ここで、A の元についての順序関係は P からくるものであるから、反射性と推移性を明示的に要求せずとも、実際にはそれらの性質が成り立っている)。 半順序集合の有向部分集合は下方閉であることは要求しない。半順序集合の部分集合が有向部分集合であるための必要十分条件は、その下方閉包がイデアルとなることである。有向集合の定義は「上方に有向な」集合(任意の二元が上界を持つ)に対するものになっているけれども、同様に任意の二元が下界を持つという「下方有向集合」を定義することもできる。半順序集合の部分集合が下方有向集合となるための必要十分条件は、その上方閉包がフィルターとなることである。 有向部分集合は、有向完備半順序を研究する領域理論において用いられる。有向完備半順序とは、その任意の上方有向集合が上限を持つような半順序集合である。この文脈では、部分有向集合はやはり収斂列の一般化を与える。
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