暗黙の前提を明らかにする
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 03:04 UTC 版)
「批判的思考」の記事における「暗黙の前提を明らかにする」の解説
形式論理学を日常的な推論に適用する非形式論理学 (informal logic) においては、隠れた前提や、それに由来する誤謬推論を明らかにすることで、議論の強さ弱さが評価される。そのような暗黙の前提を明らかにすることも、批判的思考の思考技能のひとつである。 たとえば「女の子だから、はしたないことをしてはいけない」という主張には、女性を特別扱いしようとする偏見が隠されている。省略された前提を明確にすることで、自分が無意識に信じている偏見や独断を自覚することが可能となる。また、暗黙の前提を検討することで、相手の偏見や独断を明らかにすることも可能となる。相手の暗黙の前提が明らかになるとともに、自分の暗黙の前提との違いが明らかになるという比較の作業においては、「自分にとって都合のいい前提を、相手にとって都合のいい、相手に好意的な前提に置き換えること」が重要なことであり、これが「好意の原則に基づく理解」といえる。 理解と批判の往復運動によって理解はさらに深まり、疑問を持つことによって理解が深まる。(理解を目的とする)「理解のための批判」ではなく、理解を目的としない「批判のための批判」しかない場合には、対立しか生まれない。また、賛同するだけでそこに批判が介在しなければ、馴れ合いになる、とされる。
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