斉の魏への侵攻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:01 UTC 版)
あるとき、斉の王(威王?)は魏を討伐した。戦国策によると、困った魏は、人をやって淳于髠のところへ遣わせ、 「斉が魏を攻めるのを止められるのは、先生を置いて一人しかおりません。先生には進物として、我が国に伝わる璧を二対、模様のある美しい馬八頭を差し上げますからどうかお受け取りください。」 と伝えた。それを聞いた淳于髠は、 「承知した。」 と返事をした。そして、参内して王にむかい、こう説いた。 「魏は斉の同盟国であり、楚は斉の仇敵であります。同盟国である魏を伐って、仇敵の楚に我が国の疲れに付け入る隙を与えることは、同盟国を攻める、という悪名を被ると同時に、仇敵につけ入れられる、という危険を伴います。なので、魏を攻めることは、王さまのために賛成いたしかねます。」 すると、王は、なるほど、と思い、魏を攻めることを中止した。 その後、斉の賓客が、王に、 「淳于髠は、魏から璧と馬をもらったので、魏を伐つな、と申したのでございます。」 と告げ口したので、王は淳于髠を呼んで、 「先生は、魏の璧や馬をもらった、と聞くが、それは本当か?」 と尋ねた。すると、淳于髠は、 「本当でございます。」 と答えた。それを聞いた王は、 「では、先生が、私のために賛成できない、というのはどういうことか。」 と問い質した。淳于髠はそれに対し、 「魏を伐つことが我が国にとって不利ならば、魏が、魏を伐つな、と説く私を戦場で刺し殺すことが、王さまにとっては損になります。魏を伐つことが我が国にとって本当に不利ならば、魏が、魏を伐つな、と説く私を大名に取り立てることが、王さまにとっては得になります。それに、この戦を始めなければ、王さまは同盟国を伐った、という非難を浴びることもありませんし、魏は滅ぼされることもないですし、魏の人民は兵難に合うこともなく、私は璧と馬という宝を手に入れることができます。それで、王さまには何の差し障りがありましょう。」 と言葉巧みに答えた。そこで、王は淳于髠を咎めずにおいた。
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