文学のオーバード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 14:47 UTC 版)
オーバードは中世ヨーロッパのトルバドゥールのレパートリーだった(北フランスのaubeなど、その起源はアルバ (詩)を参照)。イングランドでは、ジェフリー・チョーサーの『トロイラスとクリセイデ』(Troilus and Criseyde)第3巻が最初の例である。16世紀の恋愛詩はほとんどが満たされぬ愛を扱っていて、オーバードはエリザベス朝抒情詩の主要ジャンルではなかった。しかし、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』には、次の有名な詩行で始まるオーバードが埋め込まれている。 Wilt thou be gone? it is not yet near day: It was the nightingale, and not the lark, That pierc'd the fearful hollow of thine ear (大意「行ってしまうの? 夜明けはまだなのに。あなたをぞっとさせたあの鳴き声はナイチンゲールよ。ヒバリじゃないわ」) オーバードは形而上詩の出現で再び人気を得た。ジョン・ダンの詩『日の出』はイングランドのオーバードの好例の1つである。18世紀と19世紀にもオーバードは時々書かれたが、形而上詩の水準を超えるものはなかった。 20世紀になると、恋人が生きているとも死んでいるとも解釈できるフィリップ・ラーキン(Philip Larkin)の詩『Aubade』といった著名なオーバードがいくつか現れた。
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