岩崎氏とは? わかりやすく解説

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岩崎氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 07:45 UTC 版)

岩崎氏
本姓 桓武平氏繁盛流
・桓武平氏維茂流
家祖 岩崎忠隆
種別 武家
出身地 陸奥国
主な根拠地 陸奥国岩崎郡
著名な人物 岩崎隆時・岩崎隆衡・岩崎隆連
支流、分家 北郷氏、中山氏
凡例 / Category:日本の氏族

岩崎氏(いわさきし)は、陸奥国岩崎郡を本拠とした豪族。岩ヶ嵜氏(いわがさきし)とも。

概要

海道平氏の平忠衡の分家として矢作川沿い、藤原川沿いの岩崎郡と岩城郡の一部、菊田荘の一部を領有。当初は奥州藤原氏の家礼として臣従するも源頼朝奥州合戦に遭い、岩城氏に遅れて鎌倉方に着く。

鎌倉時代には御家人として鎌倉に出仕する一方、家長は代々左衛門尉を名乗り、本家の西郷氏は岩崎郡長谷村堀之内を本拠とし[1]、分家の北郷氏(内郷一帯)、姻戚の小川氏(小川)と共に岩崎郡を支配した。

寛正年間に嘉吉の内紛により岩崎郡・岩城郡の統一を目指した岩城隆忠・岩城親隆 (下総守)親子に攻められ、島倉城にて一度滅亡した[2]

歴史

岩崎入植と奥州藤原氏

「国魂氏系図」では平忠衡(高久三郎、海道平氏)の子の岩崎三郎忠隆を岩崎氏の祖としている[3][4]。12世紀初め、平忠衡は岩城郡高久に進出、その3人の子がそれぞれ、好嶋荘、岩崎郡、高久に展開していった[4]

平泉柳之御所跡から発掘された「人人給絹日記」には、奥州藤原氏の家礼として石埼次郎の名があり、中山は岩崎三郎忠隆の子と比定している[4]

この時期に白水阿弥陀堂を、入間田宣夫は、奥州藤原氏とは別個に独自に建立したとする[4]

鎌倉・南北朝時代

文治6年(1190年)の大河兼任の乱の際には、岩崎氏は鎌倉方の命令を待たずに迎撃に出発し、これを褒められている[5]

建長5年(1253年)、岩崎小三郎隆泰が姻戚の岡本親元と金成村を巡って相論している[6]

この頃、一族の娘が佐竹義胤に嫁ぎ、佐竹行義小川宗義(のちに小川に進出)・豊間義照(のちに豊間に進出)を産んでいる。

建治元年(1275年)、「六条八幡宮造営注文」にて岩崎氏が7貫文の負担を申しつけられている[7]

弘安9年(1286年)11月13日、岩崎三郎左衛門尉隆時、金成村地頭・岡本孫太郎資親と共に、白鳥寺道尊を先達として上洛して熊野詣で。閏12月27日に戻る[8]

文保2年(1318年)、長谷寺 (いわき市)の木造十一面観音像を仏師能慶に依頼して一族で造立、胎内文書に関連した一族(西郷氏、弁隆、隆泰、隆時、隆行、隆義、行泰、隆久、泰隆ほか)の名が記されている[9]

正中元年(1324年)12月、岩崎弾正左衛門尉隆衡、好嶋山相論で鎌倉幕府の遂行使となる[10]

同3年(1326年)、岩崎隆連(北郷氏、岡本家文書によれば、金谷・津々良・秋山・後田・高坂・輪蔵6か村の地頭)が木造薬師如来坐像を仏師院誉に依頼して造立[11]

暦応3年(1340年)、岩崎隆連の没後に娘の弟熊と孫の若熊が相論している[12]

寛正年間(1460年 - 1466年)に嘉吉の内紛により岩崎郡・岩城郡の統一を目指した岩城隆忠・岩城親隆 (下総守)に攻められ、島倉城にて一度滅亡した[13]

参考文献

  • 『福島県の中世城館跡』(福島県教育委員会、1988年)[1]
  • 『新しい いわきの歴史』(いわき地域学会、1992年)
  • 『図説 いわきの歴史』(里美庫男監修、郷土出版社、1999年)
  • 『いわき市の文化財』(いわき市教育委員会、2017年)
  • 『岩城氏と岩崎氏の中世』(中山雅弘著、高志書院、2024年)

脚注

  1. ^ 『図説いわきの歴史』p.84
  2. ^ 『福島県の中世城館跡』(福島県教育委員会、1988年)p.278
  3. ^ 兄の平忠清は岩城二郎として岩城氏の祖に、弟の平直平は荒河四郎(海道四郎カ)として国魂氏・富田氏・新田氏の祖であるとしている
  4. ^ a b c d 『岩城氏と岩崎氏の中世』(中山雅弘著、高志書院、2024年)
  5. ^ 吾妻鏡』文治六年正月八日条
  6. ^ 『図説いわきの歴史』p.84
  7. ^ 『図説いわきの歴史』p.84
  8. ^ 『新しい いわきの歴史』(いわき地域学会、1992年)p.103
  9. ^ 『図説いわきの歴史』p.84
  10. ^ 『図説いわきの歴史』p.85
  11. ^ 『図説いわきの歴史』p.83
  12. ^ 『図説いわきの歴史』p.83
  13. ^ 『福島県の中世城館跡』(福島県教育委員会、1988年)p.278

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