山中千代衛とは? わかりやすく解説

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山中千代衛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/06 08:33 UTC 版)

山中 千代衛(やまなか ちよえ、1923年12月14日[1] - 2017年2月15日[2])は、日本の電気電子工学者。大阪大学名誉教授。工学博士(大阪大学)。大阪大学レーザー核融合研究センター(現:大阪大学レーザー科学研究所)創設者。名古屋大学プラズマ研究所元客員教授。アメリカ物理学会(APS)フェロー。IEEEライフフェロー。電気学会名誉員。プラズマ・核融合学会元副会長。レーザー技術総合研究所(ILT)名誉所長・初代所長。日本原子力研究所関西研元研究推進委員長。勲二等瑞宝章紫綬褒章受章[3]。日本のレーザー核融合研究のパイオニアかつ世界をリードする研究者の一人であった[4]

専門は、レーザー核融合高出力レーザーシステムプラズマ含む)・核融合エネルギー光量子科学・光エレクトロニクス

略歴

大阪府出身[1]。1948年大阪大学工学部電気工学科卒業。同大学大学院特別研究生第一期および第二期修了。1953年同大学工学部助手となり、米マサチューセッツ工科大学(MIT)へ留学[4]。帰国後、講師・助教授を経て、1960年工学博士(大阪大学)。1963年同大学工学部電気工学科教授となり、山中研究室を開設(初期門下生には、山中龍彦佐々木孝友吉田國雄らがいる;スローガン「Laboratory of the world, and Laboratory for the world」[5])、聡明期のレーザーによるプラズマ研究・レーザー核融合の研究に従事。1969年名古屋大学プラズマ研究所客員教授を兼務(1972年まで)。1971年国産初の核融合研究用「激光I号」ガラスレーザーを開発。1972年大阪大学附属レーザ工学研究施設長を経て、1976年大阪大学レーザー核融合研究センター(現:大阪大学レーザー科学研究所)を創設し、初代センター長となる。1983年世界最高性能(当時)の「激光XII号」ガラスレーザー装置[6]を開発。1987年大阪大学名誉教授。退官後は、レーザー技術総合研究所(ILT)初代所長[7]などを務めた。1991年紫綬褒章受章。2000年勲二等瑞宝章受章[8]。2017年2月15日逝去、93歳没[2]

大阪大学工学部電気工学科において、大阪大学レーザー核融合研究センター(現:大阪大学レーザー科学研究所)創設し、国産初の核融合研究用「激光I号」ガラスレーザーの開発、世界最高性能(当時)の「激光XII号」ガラスレーザー装置の開発など、日本のレーザー核融合研究のパイオニアとして同分野の研究・育成に貢献した。その大きな功績を讃え、「山中千代衛賞」が開設されている。

主な所属学会は、アメリカ核融合協会(ANS)、アメリカ物理学会(APS)、IEEEプラズマ・核融合学会、レーザ学会、日本レーザー医学会、日本物理学会など。

主な著書

  • レーザ工学 :電気・電子工学大系20(単著、コロナ社1981、学術書)
  • レーザーと未来社会(単著、三田出版会1985、学術書)
  • 近代高電圧・放電工学 <近代電気工学大講座5>(単著、電気書院1969、学術書)
  • 慣性核融合研究開発史:レーザー核融合研究パイオニア物語(単著、レーザー核融合技術振興会IFEフォーラム2006、学術書)

主な受賞

  • アメリカ核融合協会(ANS) リーダシップ賞
  • アメリカ核融合協会(ANS) エドワード・テラー
  • アメリカ物理学会(APS)フェロー
  • IEEEライフフェロー
  • 電気学会学術振興賞進歩賞/論文賞・名誉員
  • 米国ローレンス・リバモア国立研究所研究貢献賞
  • プラズマ核融合学会名誉会員
  • IAEAニース会議金メダル
  • レーザー学会研究業績賞/進歩賞・功績賞
  • 日本レーザー医学会名誉会員
  • 小平記念会小平賞
  • 泰山賞レーザー功績賞[9]

主な研究

  • コヒーレント光による核融合プラズマの生成:高出力レーザー開発プロジェクトの開始(1968) [10]
  • 核融合研究用「激光I号」ガラスレーザー(1ビーム, 10J, 50GW)の開発:わが国最初のレーザ光線による熱核融合反応の成功(1971:ソ連フランスアメリカに次いで4番目) [11] - 名古屋大学プラズマ研究所との共同研究
  • 「激光II号」ガラスレーザー(2ビーム, 100J/1ns)の開発(1974)
  • 「激光IV号」ガラスレーザー(4ビーム, 2kJ/1ns)の開発(1978)
  • 世界最高性能(12ビーム, 20kJ/1ns)の「激光XII号」ガラスレーザー装置の開発(1983) [6]
  • 「烈光 VIII号 」CO2レーザーの立ち上げとその研究[12]
  • 「励電 III号」電子ビーム装置の開発[10]
  • レーザー核融合の高速点火技術の新しい発明およびレーザー同位体分離の研究
  • 白金フリーガラス・リン酸塩ガラスの開発
  • キャノンボールターゲットや多重衝撃波をターゲット中心で重畳させる爆縮方式の研究
  • 重水素核融合エネルギーについての研究

脚注

  1. ^ a b 『日本大学大鑑 1978年度版』日本学術通信社、1978年、p.708。
  2. ^ a b “山中千代衛氏が死去 大阪大名誉教授”. 日本経済新聞. (2017年2月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17HCR_X10C17A2CZ8000/ 2025年6月28日閲覧。 
  3. ^ レーザーニュース 山中千代衛 元会長 紫綬褒章の栄誉に輝く”. Jstage. 2025年6月28日閲覧。
  4. ^ a b (追想録)山中千代衛さん(大阪大名誉教授)レーザー核融合、世界と競う”. 日本経済新聞 (2017年3月22日). 2025年6月28日閲覧。
  5. ^ 泰山会(レーザー研同窓会)”. 大阪大学レーザー科学研究所. 2025年6月28日閲覧。
  6. ^ a b 研究紹介/装置”. 大阪大学レーザー科学研究所 超高強度場科学グループ. 2025年6月28日閲覧。
  7. ^ LASER CROSS No.253”. 2025年6月28日閲覧。
  8. ^ LASER CROSS No.152”. 2025年6月28日閲覧。
  9. ^ 泰山賞受賞者一覧(敬称略)”. 公益財団法人レーザー技術総合研究所. 2025年6月28日閲覧。
  10. ^ a b 山中千代衛. “レーザーによる新エネルギーを求めて-レーザー核融合パイオニア物語-”. 2025年6月28日閲覧。
  11. ^ 吉田國雄. “レーザーと出会って54年”. 2025年6月28日閲覧。
  12. ^ 山中千代衛. “レーザーと21世紀 ── −天は自ら助くるものを助く−”. 2025年6月28日閲覧。



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