対象を選別しての比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:32 UTC 版)
「ゲフィチニブ」の記事における「対象を選別しての比較」の解説
さらに、ゲフィチニブの効果が期待できる患者を選別して対象とした無作為化比較第III相臨床試験(IPASS試験)が行われた。この試験は、非喫煙か軽度の喫煙の経験者(15年以上禁煙)で腺癌のアジア人未治療進行非小細胞肺癌患者を、ゲフィチニブ治療群とカルボプラチンとパクリタキセルの併用化学療法群に無作為に振り分け、無増悪生存期間を評価する試験である。2006年5月から2007年10月の間に、日本人232人を含む1,217人が登録された。その結果、ゲフィチニブ治療がカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法よりも無増悪生存期間を延長することが証明されたと発表された(ハザード比 0.74、95%信頼区間 0.65 - 0.85)。ただし、投与開始後6か月間はゲフィチニブの方が疾患制御率が悪く、6か月以降は曲線が交差してカルボプラチン/パクリタキセルの方が悪くなっておりハザード比が大きく変動しているので、比例ハザード(ハザード比が一定を維持)を前提とした統計解析は誤りであり意味がない。事前に計画されていたバイオマーカーに基づくサブグループ解析では、無増悪生存期間はEGFR遺伝子変異陽性患者ではイレッサ群が化学療法群に比べ有意に長く(ハザード比 0.48、95%信頼区間 0.36 - 0.64)、逆にEGFR遺伝子変異陰性患者では化学療法群がイレッサ群に比べ有意に長い(ハザード比 2.85、95%信頼区間 2.05 - 3.98)ことが示された。このことより適切に症例を選択することにより、ゲフィチニブ治療は従来の化学療法よりも優れた効果を示すことが示された。ただし、全生存期間は有意差が付かなかった(ハザード比 0.90、95%信頼区間 0.79 - 1.02)。
※この「対象を選別しての比較」の解説は、「ゲフィチニブ」の解説の一部です。
「対象を選別しての比較」を含む「ゲフィチニブ」の記事については、「ゲフィチニブ」の概要を参照ください。
- 対象を選別しての比較のページへのリンク