対振り飛車居玉棒銀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 15:29 UTC 版)
第10-1図、第10-2図は両方とも雑誌『近代将棋』1980年9月号の「質問箱」で寄せられた局面で、対振飛車居玉棒銀1が後手△3四歩と開け、先手は玉をすでに2八に移動し、7筋に飛車を振って対処している。対振飛車居玉棒銀2が後手角道を閉じ、先手は居玉である。回答者の加藤一二三の解説では、前者の棒銀1では▲6五歩としても以下△7七角成▲同飛△7六歩▲同飛△6七角を喫するとしている。▲8八角も△7二飛▲7五歩△同銀▲6五歩△7六歩▲2二角成△同銀▲4六角には△9二飛となり、以下▲6八飛△4四角▲6四歩△同歩▲同角△同銀▲同飛△9九角成となるが、図でこのとき2八に玉が寄っているのが欠点になっているとしている。もし玉の位置が3八であれば、▲6五歩△7六歩で▲2二角成△同銀▲7六飛△6七角には▲7八飛として先手十分としている。 △ 持ち駒 なし ▲ 持ち駒 なし図は△7五歩まで第10-1図 対振飛車居玉棒銀1 △ 持ち駒 なし ▲ 持ち駒 なし図は△7五歩まで第10-2図 対振飛車居玉棒銀2 △ 持ち駒 歩 ▲ 持ち駒 なし図は△4五歩まで第10-3図 糸谷対久保戦 一方で棒銀2では▲6五歩が利くとしている。このあと△7六歩には▲5五角△9二飛には▲7六銀となれば先手も十分で、▲6五歩に△3四歩でも▲7八金で、△7七角成でも▲同金で、別に先手が悪くないとしている。これは△3四歩が突いていないので、△7五歩がきても▲6五歩がさばきの常用手段となるからで、▲6五歩のほかには▲7八飛もあり、以下△7六歩▲同銀△7二飛には▲8八角で、△3四歩には▲4八玉で十分であるとしている。 居玉で早くに銀を繰り出す棒銀の実戦譜は、▲糸谷哲郎vs△久保利明戦(第46期棋王戦挑戦者決定トーナメント、第10-3図)がある。図の局面で後手はまだ飛車を振っていないが、これは振り飛車党の久保に対し、初手▲2六歩△3四歩▲4八銀の出だしに△9四歩と様子をみた一手を甘くなるよう先手の糸谷がすばやく展開したもの。図以降は先手居飛車側が▲5六歩として後手角のさばきを押さえた。以下△5四歩▲3五銀に後手は△5二飛と中飛車に振るが、▲2四歩以下△同歩▲3四歩△4二角▲7六歩△6四角▲2四飛△1九角成▲2三歩以下、先手棒銀側が77手で快勝している。
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