妻離川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/22 20:51 UTC 版)
中将と姫君は仲良く暮し、六年が経った。一方都では有宇中将が突然姿を消したので、中将の両親の嘆きはひとかたではなかった。そのころ中将も夢に母親が出て、「おまえのことを思うあまりに私は死んでしまった」というので都が恋しくなり、ひとまず都へ帰る事となった。姫君は自分も連れて行ってほしいと中将に頼んだが、「今回はつれては行けない」という。姫君は中将に、「途中で妻離(つまさか)川という川があるが、その川の水を飲むと夫は二度と妻には会えないといわれているので絶対に飲まないでください」と言った。中将は来たときと同じように、鷹の雲上と犬の阿久多丸を連れ、青鹿毛に乗り長者の館を出て都へ向った。 中将が青鹿毛に乗って道を行くと、妻離川に至った。だが川を目の前にして中将は喉の渇きに抗えず、ついに川の水を飲んでしまう。ところが具合が悪くなり、中将は川の側の野辺に五日も病み臥せる。 それから中将はなんとか容態を持ち直したが、「自分の命はもうながくはないと思われる。心静かになれるところに私を連れて行け」と青鹿毛に命じたので、青鹿毛は二荒山の山中に中将を連れて行った。中将はそこで母と姫君に宛てて文を書き、青鹿毛を都に、雲上を姫君のもとにとそれぞれ文を届けに行かせた。 一方姫君は中将のことが気になりついに館を出て、妻離川に至ると、雲上が現れ文を落とした。姫君はそれを見て返事を書き、それを雲上に持たせて中将のところへ行かせた。
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