埼玉から差別をなくす会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/17 15:44 UTC 版)
埼玉から差別をなくす会(さいたまからさべつをなくすかい)は、日本の市民団体[1]。
概要
埼玉県の川口市や蕨市では外国人の住民が多く、クルド人が多く住む地域として知られている。その地域では2023年に在日クルド人が国会で窮状を訴えた頃からクルド人を標的とする街宣やデモ活動が激しく行われるようになる。この頃にそこの住民であった人物は矢も楯もたまらずになり、同世代の人を集めて埼玉から差別をなくす会を結成した[3]。
2024年4月3日に埼玉から差別をなくす会は、埼玉県知事と埼玉県警察本部長と埼玉県公安委員長それぞれに公開質問状を提出。埼玉県内でのクルド人に対する差別的な街宣やデモ活動に対する認識を問うた。ヘイトスピーチ解消法に基づく埼玉県の取り組みや今後の対応計画や、ヘイトスピーチを規制する条例を導入することへの見解、街宣やデモ活動での警備体制は適正であるかなどが問われていた[4]。同日に埼玉県庁で行われた記者会見では、県内では特定の属性の住民を排除する言葉が広がっており脅威を感じ、外で遊んでいた子供たちを見かけなくなったり仕事以外での外出を控えるようになった人もいるとのこと。学校ではいじめが起きたり孤立するようになった子供もいるとのこと[5]。この日に手渡された公開質問状では、同年2月18日に蕨駅周辺で行われたクルド人排除を訴えるデモ活動が行われ、そこで埼玉県警察の職員と見られる人物がデモ活動に抗議をする人々をザコと侮辱する発言をしたとのことで、この発言は埼玉県警察の総意かであるということも質問されていた[6]。この質問に対しては4月19日までに埼玉県警察は不適切な発言であり遺憾ということを認めた。そして埼玉県警察は、今後はこのようなことが無いように職員に対する指導を進めるとしていた[7]。
2024年6月13日には、埼玉県川口市や蕨市で特定の民族を排除することを訴える街宣やデモ活動が続発しているということから、川口市と蕨市の両市に対してのヘイトスピーチを防ぐ啓発活動と罰則付きの禁止条例を制定するということを要請した。この要請文によると、両市での排他的なヘイトスピーチというのは主に市外から持ち込まれており、国籍を問わずに市民の生活や教育に悪影響を及ぼしているということが指摘されていた[8]。
2024年8月9日には埼玉県南部で暮らすクルド人に対してのヘイトスピーチが深刻な被害を生じさせているということについての実態調査を行う[9]。
2024年9月25日には埼玉県知事に、埼玉県では在日クルド人に対するヘイトスピーチが拡大して激しくなり、迫害行為はインターネットから日常生活の場にあふれ出してクルド人には恐怖を強いられているため、埼玉県には罰則付きのヘイトスピーチを規制する条例を求める要請文を提出する。そこでは埼玉県の人権課の担当者には、このままではヘイトクライムが起きて実際に暴力を振るわれるようになるために対策をしてほしいということも訴えられた。そこで提出された資料によると、インターネットでは国へ帰れや出て行けなどに留まらずに、クルド人を殴るや殺すなどの投稿も行われているとのこと。インターネットのみでなく、実際にクルド人は人間ではないと怒鳴られたことや、クルド人は死ねという落書きをされているということもあった。蕨駅前で外国人を閉じ込める収容施設を求める署名活動も行われていた[10]。
2025年2月13日には在日クルド人への差別行為やヘイトスピーチに歯止めがかからないために法規制を論じるシンポジウムが行われ、そこでは埼玉から差別をなくす会も登壇した。そこではクルド人に対するヘイトスピーチというのは、2023年5月に難民申請中でも強制送還できるように入管難民法を改定することに反対の声をあげたことがきっかけとして始まり、クルド人が国会で発言してメディアの取材に応じた結果レイシストに発見されて攻撃されるようになっていた。そして埼玉県でのクルド人へのヘイトスピーチが異常な拡大を見せてしまっていたことから日本国籍の埼玉県民として何とかしなければならないと思い埼玉から差別をなくす会を立ち上げたということをスピーチした[11]。
脚注
- ^ “「ザコどもだから」と埼玉県警職員が侮辱?市民団体が公開質問状 クルド人排除デモとそれに抗議する人の間で:東京新聞デジタル”. 東京新聞デジタル. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “罰則でヘイト歯止めを 禁止条例制定求め埼玉で市民団体結成 時代の正体 差別禁止法を求めて”. カナロコ by 神奈川新聞. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “つながる/ひろがる/フェミ・ジャーナル -ふぇみん-|インタビュー”. www.jca.apc.org. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “川口や蕨でのヘイトデモに絡み市民団体が埼玉県や県警に質問状:朝日新聞”. 朝日新聞 (2024年4月4日). 2025年10月5日閲覧。
- ^ “埼玉県川口・蕨のクルド人への排斥激化で市民が県に要望 「ヘイト規制の差別禁止条例を」”. 週刊金曜日オンライン. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “デモ抗議に侮辱発言、埼玉”. 千葉日報オンライン. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “クルド人排除デモに抗議する市民を「雑魚ども」…県警職員が発言、市民団体の動画に残る”. 読売新聞オンライン (2024年4月20日). 2025年10月5日閲覧。
- ^ “ヘイト禁止条例制定を 市民団体、川口・蕨市に要請:東京新聞デジタル”. 東京新聞デジタル. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “クルド人排斥ヘイトの被害調査を 埼玉・川口市民ら、市に要請 時代の正体 差別禁止法を求めて”. カナロコ by 神奈川新聞. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “埼玉県内のクルド人排斥激化 市民らヘイト規制条例制定求める”. 週刊金曜日オンライン. 2025年10月5日閲覧。
- ^ “SNSでの暴力示唆が当たり前に 埼玉県民として危機感 時代の正体 クルド人ヘイトを止める#1”. カナロコ by 神奈川新聞. 2025年10月5日閲覧。
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