在日クルド人と共に
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/05 14:09 UTC 版)
在日クルド人と共に(ざいにちクルドじんとともに)は、日本の任意団体[1]。
概要
2021年12月設立。在日クルド人を主とするが、日本で暮らす外国人や、外国にルーツのある人々の人権を護り、自立して健やかな生活が営めるように支援することを目的とする[2]。
在日クルド人と共にを立ち上げるきっかけとなったのは、代表となる人物が2016年に、平日の昼間であるのに小学生と思われる姉妹が公園で遊んでいるのを見たことからだった。その時に一緒にいた妻はスマートフォンの翻訳機能を使って会話をしたところ、この姉妹はクルド人であるということが分かる。そしてこの姉妹は学校に行きたいと言っていた。このことからこの姉妹の保護者とも話しをして、近隣の学校と交渉をして就学手続きをしてから、その家族との付き合いが始まる。当初はクルド人のことはよく知らなかったものの、クルド人の家族との付き合いを通じて在日クルド人の置かれている状況を知る。日本で暮らしているクルド人のほとんどが難民申請をしているものの、誰一人として難民認定がされていないということも知る。入国管理制度や難民認定制度の抜本的な見直しを求めることと、クルド人と地域住民の間に入って相互理解を進めることを目的として、2021年12月に在日クルド人と共にを立ち上げる[3]。
活動費は赤い羽根共同募金を運営する社会福祉法人からの助成金や、趣旨に賛同する人々が納める会費や寄付金などから。2022年は600万円以上が集まる[4]。
2023年10月に在日クルド人と共には、川口市で写真展を主催する。そこではクルド人が日本に来た背景や、日本での生活の様子を国内外の写真家らが撮影したという作品が展示される。日本でのクルド人の家庭の様子や、仕事をする姿も紹介される。現在のクルド人は文化や言葉の違いから、ゴミ出しや騒音などで地域住民との摩擦もあるが、今回の写真展を互いを理解するきっかけになってほしいとする[5]。
2024年6月に在日クルド人と共には、川口市で写真展を開催する。改正入管難民法の施行や外国人排斥の活動が行われているなど不安定な立場に置かれているクルド人の背景から、埼玉での暮らしとそれに伴う問題について訴えかける[6]。
2024年8月20日には在日クルド人と共にのインターネットホームページに、クルド人を皆殺しにしてブタの餌にしてやるというメッセージが送られた。この送った人物はさいたま地方検察庁に書類送検された[7]。
2025年1月にさいたま市では、クルド人の小学生が在留資格を失ったために市内の市立小学校から除籍されていたということが明らかとなった。文部科学省は在留資格が無くなっても住所を確認できる書類があるならば義務教育を受けさせるようにさいたま市に指導しているものの、さいたま市は政府の方針に反してより厳しくしているためにこのようになっている。このことに対して在日クルド人と共には、さいたま市教育委員会に抗議をして、この小学生が復学できるようにすることを求める。この小学生の一家はトルコで迫害されていたとして2023年に難民申請をして在留資格を得て小学生は4年生に編入したものの、6年生であった2024年7月に難民申請が不認定となり在留資格を喪失して、このことを小学校に報告すれば9月6日付けで除籍となった[8]。
2025年6月15日に在日クルド人と共には、川口市で在日クルド人問題の現状や対策を考えるシンポジウムを主催する。ここでは安田浩一と師岡康子が講師を務める。ここで安田浩一はSNSでの差別的な書き込みや、クルド人が経営している飲食店に対するいたずらが後を絶たないという実態を報告する。クルド人の仕事場を無断撮影したり、クルド人の子供を盗撮してその子供が万引きをしているとデマを流しているということもあると報告[9]。
脚注
- ^ “「フィリピン、中国、クルド、どんどん対象が変わっています」埼玉県ヘイト行為のなぜ”. 文化放送 (2024年7月1日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ “当会について”. 在日クルド人と共に. 2025年9月5日閲覧。
- ^ “蕨市・川口市「在日クルド人問題」支援団体代表者が語る“ヘイト”の連鎖が止まらない背景 | 弁護士JPニュース”. 弁護士JP|あなたの悩みを解決する弁護士検索サイト (2024年4月4日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ “情熱人:国を追われた人を助け続ける――松沢秀延さん”. 週刊エコノミスト Online. 2025年9月5日閲覧。
- ^ “「日本で生きる姿を見て」 クルド人の暮らし伝える写真展 川口で:朝日新聞”. 朝日新聞 (2023年10月13日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ “「現状を知って」 在日クルド人の写真展開催 川口で15、16日|埼玉新聞|埼玉の最新ニュース・スポーツ・地域の話題”. 「現状を知って」 在日クルド人の写真展開催 川口で15、16日|埼玉新聞|埼玉の最新ニュース・スポーツ・地域の話題. 2025年9月5日閲覧。
- ^ “埼玉・在日クルド人の今―暴走する「ヘイト」は止まらないのか”. nippon.com (2024年10月4日). 2025年9月5日閲覧。
- ^ “さいたま市教委、クルド人女児の小学校通学を阻む 在留資格の喪失を知り「除籍」…政府方針と異なる対応:東京新聞デジタル”. 東京新聞デジタル. 2025年9月5日閲覧。
- ^ “ヘイトスピーチに「危機感」 クルド人の日常脅かす デマやデモ 蕨拠点の支援団体がシンポ開催:東京新聞デジタル”. 東京新聞デジタル. 2025年9月5日閲覧。
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