国鉄8000形蒸気機関車とは? わかりやすく解説

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国鉄8000形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/17 02:06 UTC 版)

九州鉄道99形99(後の鉄道院8000形8004)

8000形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院、鉄道省に在籍したテンダ式蒸気機関車である。

本項では、同系の8050形についても記述する。

概要

元は、筑豊鉄道1892年(明治25年)から1895年(明治27年)にかけてアメリカボールドウィン・ロコモティブ・ワークスから7両を輸入したものである。その後、1897年(明治30年)の九州鉄道への営業譲渡にともなって同社へ籍を移し、さらに1907年(明治40年)の国有化により、国有鉄道籍を得たものである。

製造の状況については、次のとおりである。

  • 1892年(3両) - 製造番号12939, 12947, 12952 - 筑豊鉄道7 - 9
  • 1894年(2両) - 製造番号13971, 14033 - 筑豊鉄道15, 16
  • 1895年(2両) - 製造番号14392, 14393 - 筑豊鉄道29, 30

上記のうち、1892年製の9は、他の6両が単式であったのに対し、ヴォークレイン4気筒複式を採用している。これは、日本では初めての導入であるのが特筆される。メーカーでの種別呼称は、単式機が8-28D、複式機が8-16/30Dである。

九州鉄道に移籍後は、単式のうち7, 8, 15, 16は77形77, 78, 85, 86)に、複式の9は79形79)に、1895年製の単式2両は99形99, 100)に改められた。単式機の形式が77形、99形に分かれたのは、炭水車の水槽容量が異なっていたためで、機関車本体は同じものである。

九州鉄道の国有化後、1909年(明治42年)に制定された鉄道院の車両形式称号規程では、単式の6両が番号順に8000形8000 - 8005)、複式の1両が8050形8050)に改番されたが、8050は1915年(大正4年)に小倉工場で単式に改造され、8000形の追番の8006に編入された。その際、使用蒸気圧が高い分、シリンダ引張力が摩擦引張力に比して過大となるため、シリンダにブッシュを挿入し、直径を25mm(1in)縮小している。

配置は一貫して北九州地区で、行橋、大分、若松、直方、鳥栖、熊本などである。廃車は、1923年(大正12年)1月および2月で、全車が解体された。

8000形主要諸元

8000 - 8003の諸元を示す。/以降は、8004,8005の数値。

  • 全長 : 14,402mm
  • 全高 : 3,594mm
  • 全幅 : 2,381mm
  • 軌間 : 1,067mm
  • 車軸配置 : 2-6-0(1C)
  • 動輪直径 : 1,219mm
  • 弁装置 : スティーブンソン式アメリカ形
  • シリンダー(直径×行程) : 432mm×559mm
  • ボイラー圧力 : 9.8kg/cm2
  • 火格子面積 : 1.51m2
  • 全伝熱面積 : 106.6m2
    • 煙管蒸発伝熱面積 : 98.8m2
    • 火室蒸発伝熱面積 : 7.8m2
  • ボイラー水容量 : 4.1m3
  • 小煙管(直径×長サ×数) : 44.5mm×3,175mm×223本
  • 機関車運転整備重量 : 37.41t
  • 機関車空車重量 : 33.64t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時) : 32.12t
  • 機関車動輪軸重(第2動輪) : 11.50t
  • 炭水車運転整備重量 : 23.07t
  • 炭水車空車重量 : 11.37t
  • 水タンク容量 : 7.90m3/9.11m3
  • 燃料積載量 : 3.81t/3.69t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力 (0.85P): 7,130kg
  • ブレーキ装置 : 手ブレーキ蒸気ブレーキ

8050形主要諸元

  • 全長 : 14,427mm
  • 全高 : 3,594mm
  • 全幅 : 2,381mm
  • 軌間 : 1,067mm
  • 車軸配置 : 2-6-0(1C)
  • 動輪直径 : 1,219mm
  • 弁装置 : スチーブンソン式アメリカ形
  • シリンダー(直径×行程) : 279/483mm×559mm
  • ボイラー圧力 : 12.7kg/cm2
  • 火格子面積 : 1.51m2
  • 全伝熱面積 : 101.8m2
    • 煙管蒸発伝熱面積 : 94.0m2
    • 火室蒸発伝熱面積 : 7.8m2
  • ボイラー水容量 : 3.0m3
  • 小煙管(直径×長サ×数) : 50.8mm×3,200mm×184本
  • 機関車運転整備重量 : 35.74t
  • 機関車空車重量 : 32.82t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時) : 30.34t
  • 機関車動輪軸重(第2動輪) : 10.88t
  • 炭水車運転整備重量 : 21.28t
  • 炭水車空車重量 : 10.17t
  • 水タンク容量 : 7.90m3
  • 燃料積載量 : 3.81t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力 (0.85P ): 7,710kg(単式時)、5,780kg(複式時)
  • ブレーキ装置 : 手ブレーキ、蒸気ブレーキ

参考文献

  • 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会
  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社
  • 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 IV」1986年、機関車史研究会刊




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