受粉のしくみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/21 19:30 UTC 版)
この花は送粉者の食物となる蜜を分泌せず、花粉もラン科の通例どおり花粉塊となっていて昆虫の食物となるような形で大量に作られるわけではない。 にもかかわらず受粉が成立するのは、騙しによる受粉が行われているからであることが明らかになっている。このことは、この種の保護のための研究によって判明した。送粉者はニセハイイロマルハナバチの、単独で巣を作り始めたばかりの越冬女王蜂であり、蜜や花粉が得られる花と誤認して花に潜り込むと、あたかも食虫植物ウツボカズラの捕虫嚢に捕らえられたかのように、袋状の唇弁に足を滑らせて落ち込む。ここから脱出できる経路は限られており、花から出るときに背中に花粉塊が粘着する。このハチが再び別の花に騙されて落ち込んで同じように脱出するときに雌しべの柱頭に花粉塊が付着し、受粉が成立する。 一説によると、ニセハイイロマルハナバチの越冬女王がレブンアツモリソウの花に騙されて誘引されるのは、同時期に同じような淡黄色の花をつけるゴマノハグサ科のネムロシオガマの花と誤認するためであるためではないかとも言われている。そこで、レブンアツモリソウの個体群を遺伝的な多様性を維持して保全するためには、ニセハイイロマルハナバチとネムロシオガマの保全が必要であるとする提言もなされている。
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