反切の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/19 02:29 UTC 版)
正確な発音を反切で示すことができないこともある。たとえばある韻に字がひとつしかない場合は反切を作ることができない。『切韻』では「拯」韻が1字しかないために反切をつけられず「無反語」と記されている。 反切から正しい発音を得るには熟練が必要である。現代中国語では同音の字が多いので、単に同音の漢字で音を示したほうが簡単なことが多い。 古い時代の書籍の反切を使って音を得る場合には、反切がつけられた時代の音韻体系を知っている必要がある。たとえば『切韻』で「視」は「承旨反」であるが、現代語では 「承」= chéng、「旨」 = zhǐ なので、現代音を使って反切を得ようとすると chǐ になってしまい、正しい shì を得ることができない。 反切下字が唇音で始まるときに介母 /u/ があるかどうかについて曖昧さが発生する。例えば『切韻』陌韻で「格、古陌反」「虢、古伯反」とあり、反切下字のみが異なる。反切下字それぞれの音を調べると「陌」は「莫白反」であり、「伯」は「博白反」であるから、両者は反切下字として同音であるとわかる。しかし実際には「格」は /kak/、「虢」は /kuak/ で音が異なる。これは「白(陌・伯)」が反切下字として /-ak/ と /-uak/ の両方を意味し得るためである。
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