厳密な剰余環構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/30 21:11 UTC 版)
環 R とその両側イデアル I が与えられたとき、R 上の同値関係 ~ を a ~ b ⇔ b − a ∈ I で定める。a ~ b が成立することを「a と b はイデアル I を法として合同である」という。イデアルの性質から、これが合同関係を定義することを確かめるのは難しくない。 R の元 a の属する同値類は [ a ] = a + I := { a + r ∣ r ∈ I } {\displaystyle [a]=a+I:=\{a+r\mid r\in I\}} で与えられる。この同値類は a mod I とも書き、「a を I で割った剰余類」("residue class of a modulo I") と呼ばれる。 このような同値類全体の成す集合を R/I で表せば、これは ( a + I ) + ( b + I ) := ( a + b ) + I ; ( a + I ) ( b + I ) := ( a b ) + I {\displaystyle {\begin{aligned}(a+I)+(b+I)&:=(a+b)+I;\\(a+I)(b+I)&:=(ab)+I\end{aligned}}} を演算とする環となる(これが矛盾無く定義できることは確認すべきことである)。これを R を I で割った商環、あるいは剰余環という。剰余環 R/I の零元は 0 + I = I であり、乗法単位元は 1 + I で与えられる。 環 R から剰余環 R/I への全射な環準同型 π が π ( a ) := a + I {\displaystyle \pi (a):=a+I} とおくことによって定まる。これは自然な射影や標準準同型などとも呼ばれる。
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