原子力施設での使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 10:15 UTC 版)
「ブローアウトパネル」の記事における「原子力施設での使用」の解説
ブローアウトパネルは、原子炉建屋やタービン建屋の壁にあらかじめ空けられた穴をふだんは塞いでいる板である。これは通常時の建屋の気密性を保つことで、たとえば放射性物質を含む水蒸気が原子炉格納容器や配管から漏洩したとしても、外部環境に出さずに処置をするまで閉じ込めておく目的がある。そして万一建屋内の圧力の過大な増加や減少が生じたときには、建屋全体の爆発を避けるために、瞬時に自動的に開いて、圧力を逃がすように物理的な仕掛けがしてある。このとき、放射性物質があれば大気に漏洩するという重大な影響は生じるが、それでも建屋が爆発するよりは放射性物質の漏洩が少なく済ませるという考えである。 たとえば過酷事故のあるシナリオでは「原子炉格納容器が破損するとドライウェル破損口よりガス(水素・窒素・水蒸気)とともに核反応生成物が原子炉建屋へ放出され、さらに建屋に設けられたブローアウトパネルが開放し、核反応生成物が環境へ放出される」とされている。 ただこれは、建屋に溜まった圧力の低い水素を逃がすものではないので、通常の閉止状態ではむしろ水素爆発の防止になるというよりは助長するものである。2011年3月の福島第一原子力発電所事故における1号機と3号機の水素爆発は、ブローアウトパネルがあっても防げなかったものである。 このとき3号機の水素爆発の衝撃で2号機原子炉建屋のブローアウトパネルが壊れて開放してしまったために、皮肉なことに2号機の建屋は水素が溜まらなかったので建屋の水素爆発を免れた、とみる専門家もいる(ただ、2号機の圧力抑制プールは(建屋内で)爆発で破損したが)。
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