前払金保証の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/10/17 16:05 UTC 版)
「公共工事前払金保証事業」の記事における「前払金保証の範囲」の解説
前払金保証は、単純に、発注者が前払いした金額を保証するものと考えがちであるが、実際は違う。 前払金保証の保証範囲は、前払金額を限度とした「発注者の既払額」である(公共工事の前払金保証事業に関する法律第2条第2項、前払金保証約款第1条)。発注者は工事施工中に、前払金だけでなく部分払を行っていることもある。この前払金と部分払を合わせたものが「既払額」となる。つまり、保証が付いていない部分払についても、前払金保証は保証範囲としているのである。この点については全く知られていないといってよい。例えば、 前払金40%に対し、契約解除時点での出来形が30%あれば、保証事業会社は損害である10%分を発注者に支払う 前払金40%+部分払30%の場合、契約解除時点での出来形が60%あれば、保証事業会社は損害である10%分を発注者に支払う つまり、前払金を超える出来高があっても、部分払の額によっては、保証事業会社は免責されない場合もある。 発注者は部分払いを行う際、業界の慣例に従って、「九分金払い」(くぶきんばらい:出来高の90%だけ支払うこと)を行う。一般的には「部分払=<出来高×(0.9-前払率)」で算出されることが多い。したがって、前払率が40%の場合、出来形80%以上にならなければ、保証事業会社は保証金支払リスクから完全に免責されないことになる。例えば、請負額1000万円で出来形80%の場合、前払金額400万円、部分払額も400万円(800万円×(0.9-0.4))で既払額は800万円となり、出来高と同額なので、保証金支払は免れる。この場合の出来形80%又は出来高800万円のことを免責点という。
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