判例・諸学説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:18 UTC 版)
判例は、第176条の文言を重視して、第一譲渡の意思表示によって物権変動は生じているとし、ただ、物権変動は一時点をもって決するような明確なものではなく登記を備えるまでは外部から分からないため確定的でない、と考える。したがって、譲渡人は完全な無権利者にはなっていないため、第二譲渡も有効となるのである。 かかる判例の理解を不完全物権変動説であると理解する向きもあるが、他にも、段階的物権変動論(代金の支払・引渡しも考慮して観念上分割的段階的に物権変動を捉える)・公信力説(登記に一種の公信力を認める)・否認権説(登記を備えた者が177条の第三者の物権変動を否認する権利を有する)など、諸種の学説が主張されており、民法学全体の中でも争いが錯綜している論点の1つとなっている。もっとも、判例は不明確ながら上記理解で固まっている観があり、その上で個別の理論で事例処理している。
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