分類と名前の経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/16 02:21 UTC 版)
ドヨウオニグモという和名は、この種が土用のころに見られることによる。しかし、この種の和名は元来はドヨウグモであった。この名は元々は Meta doenitzi Boesenberg & Strand に対して与えられた和名であった。例えば湯原(1931)はこれを使用している。だが、彼もこの種の外形が Meta らしくないことを指摘している。その後にこの種の所属する属が Neoscona であるとして移動された。同時にこれが和名で言えばオニグモ類であるとして改名したのがドヨウオニグモであった。 ちなみにMeta の属としての和名はドヨウグモ属であるが、現在は単にドヨウグモという名のクモは存在しない。これはつまり、本種はこの属を追い出されて改名を受けたが、その名をこの属に残していった、と言うことらしい。 他方、Nesocona は和名をヒメオニグモ属と言い、これはN. adianta の和名がヒメオニグモであったことにちなむ。この種はN. doenitzi 以前に記載されてそれぞれ別種と考えられていた。八木沼(1960)にはこの2種が別種としてそれぞれ別ページに彩色図版で掲載されている。 その後、この2種が同種ではないかとの説が浮上する。八木沼(1986)ではヒメオニグモの図版は引っ込められており、北海道産のヒメオニグモとしていたものがドヨウオニグモであること等が述べられている。この時点では日本産は N. doenitzi であるとの判断であったようだが、現在では両者は同種であるとの判断となっている。 ただ、ここでも学名と和名の面白い関係がある。N. doenitzi と N. adianta がシノニム(同物異名)と判断されたことから、先に記載されていた後者が正式の学名となった。だが、和名は前者のものであったドヨウオニグモが使われたのである。そして属名はヒメオニグモ属のままになった。つまり種名をドヨウが取り、消されたヒメの方は属名に残った形である。
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