分出公理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 23:10 UTC 版)
主な公理的集合論の多くにおいて、分出公理(英: axiom schema of specification)、分出公理図式、部分集合公理、制限された内包公理(図式)とは、公理図式の一つである。本質的に、どの集合の定義可能な部分クラスも集合であることを主張する。
分出公理を内包公理(図式)(axiom schema of comprehension)と呼ぶ数学者もいるが、この語は後述のように無制限の内包(unrestricted comprehension)の意味で用いられる場合がある。
制限された内包公理はラッセルのパラドックスを回避できるため、ツェルメロ、フレンケル、ゲーデルといった数学者は、集合論の最重要な公理と考えた。[1]
主張
x, w1, ..., wn, A を自由変数とする集合論の言語における論理式 φ ごとに、公理図式のインスタンスが1つずつ含まれる(公理図式の中の1つの公理が含まれる)。ゆえに B は φ において自由変数でない。集合論の形式言語において、この公理図式は以下のように表される:
分出公理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 16:26 UTC 版)
置換公理はフレンケルによって次の分出公理の代わりにおかれたものである(1922年)。分出公理はZFの公理から示すことができる。 分出公理 任意の集合 X と A を自由変数として使用しない論理式 ψ(x) に対して、X の要素 x で ψ(x) をみたすような x 全体の集合が存在する: ∀ X ∃ A ∀ x ( x ∈ A ↔ ( x ∈ X ∧ ψ ( x ) ) ) {\displaystyle \forall X\exists A\forall x(x\in A\leftrightarrow (x\in X\wedge \psi (x)))} 。 この公理は、論理式 ψ をパラメータとする公理図式である。論理式 ψ を決めたとき、X に対して分出公理が存在を主張する集合はただ一つであることが外延性の公理から言えるので、これを { x ∈ X ∣ ψ ( x ) } {\displaystyle \{x\in X\mid \psi (x)\}} で表す。 { x ∈ X ∣ x ∈ Y } {\displaystyle \{x\in X\mid x\in Y\}} を X ∩ Y {\displaystyle X\cap Y} で表す。 分出公理を公理として採用する場合にはXを任意に選んだ集合、 ψ ( x ) {\displaystyle \psi (x)} を恒偽式 ( x ≠ x ) {\displaystyle (x\neq x)} としてとして分出公理を適用することにより空集合の存在が導かれる。
※この「分出公理」の解説は、「公理的集合論」の解説の一部です。
「分出公理」を含む「公理的集合論」の記事については、「公理的集合論」の概要を参照ください。
- 分出公理のページへのリンク