典型的CIDP(typical CIDP)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 05:35 UTC 版)
「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」の記事における「典型的CIDP(typical CIDP)」の解説
典型的CIDPの病変の分布の理解には血液神経関門(BNB)の理解が有用である。BNBは血管内皮や神経周膜などで構成されており、抗体(免疫グロブリン)などの大分子量物質はBNBを通過できないため、典型的CIDPにおいてはBNBの脆弱な部位に好発しそれを反映した神経伝導異常が認められる。BNBは遠位部神経終末と神経根において生理的に欠如している。運動神経が筋内に入って分枝し神経筋接合部にいたる直前の数mmの神経終末と、神経根部の血液脳関門(BBB)とBNBの境界部の数mmではバリアが欠如している。この遠位部神経終末と神経根に典型的CIDPの病変は好発する。典型的CIDPでは近位筋が遠位筋と同様に障害されるという一般の多発ニューロパチーとは異なる特徴的な筋力分布の低下を呈するが、これは脱髄病変がBNB脆弱部である遠位部神経終末と神経根に限局することで説明可能である。すなわち末梢神経の遠位端と近位端に起こる病変は神経長に依存しないからである。遠位部に病変が限局する場合は免疫治療後に長期完全寛解が得られることがある。遠位部神経終末の評価として重要なのが遠位部刺激によるCMAPである。
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