入浴による溺死
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 04:50 UTC 版)
浴槽で全身浴する習慣のある日本では、諸外国と比べて浴槽で溺死する確率が高い。2014年の消費者庁の調査では、溺水以外を含めて、何らかの原因で浴室で事故死する死亡者の数が、1年間で約1万9,000人と推定されているが、このうち溺水による死者の数は4,866人であり、これは2014年の交通事故死の4,373人を上回る。 溺死者のうち、65歳以上の高齢者が9割を占める。日本社会の高齢化に伴い、浴室における死亡者は急激に増えており、2004年から2014年にかけて、浴室における溺死者の数は1.7倍に増えた。ヒートショック現象により溺死する場合もある。 自宅での溺死は、持病がない元気な人間であっても起こりうる。疲労や睡眠不足、医薬品の服用などにより、思考能力や運動能力が極端に低下した場合にのみ起こると誤解されているため、厚生労働省や消費者庁は注意を呼び掛けている。 また、乳児の事故においても、風呂場での水死が多いことが特徴としてあげられる。これは日本の家庭では風呂の湯を残す習慣があり、つかまり立ちなど、自力で移動できるようになった乳児が、残り湯の張られた浴槽に頭から転落して水死に至る事故が発生することによるものである。乳児がいる家庭では、浴槽に残り湯をできるだけ残さないことが水死事故の対策となる。
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