リプレーの世界奇談集
(信じようと信じまいと から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/04 08:29 UTC 版)

『リプレーの世界奇談集』(リプレーのせかいきだんしゅう、英: Ripley's Believe It or Not!)あるいは『信じようと信じまいと』(しんじようとしんじまいと)は、ロバート・リプレーにより始められたアメリカ合衆国のフランチャイズであり、読者がその真意を疑う様な奇妙で奇怪な事柄や出来事を取り扱っている。新聞の一コマ漫画として連載されたところ注目を集め、その後ラジオ、テレビ、漫画、博物館、そして書籍といった多種多様なフォーマットに展開していった。
リプレー・コレクションには、2万枚の写真、3万点の芸術作品、100コマ以上の一コマ漫画が含まれる。
ジム・パティソン・グループ(カナダのグローバル企業)の一部であり、フロリダ州オーランドに拠点を置くリプレー・エンターテイメント社には80以上のアトラクションがあり、来訪者は毎年1200万人以上である。
リプレー・エンターテイメントの出版と放送の各部門はテレビシリーズ、新聞の一コマ漫画の連載、本の執筆、ポスターとゲームの作成を含めた多数のプロジェクトを手掛けている。
一コマ漫画の連載
1918年12月19日、『ニューヨーク・グローブ』紙でリプレーの漫画が初めて登場した際、『チャンプス・アンド・チャンプス(Champs and Chumps)』の題名で掲載された。その後、スポーツとは関連のない内容も追加されていき、1919年10月に『ビリーヴ・イット・オア・ノット』に改題された。1923年に『ニューヨーク・グローブ』紙が事業を畳んだ際、リプレーは『ニューヨーク・イブニング・ポスト』紙に移った。1924年、一コマ漫画は『アソシエイテッド・ニュースペーパーズ』[1](ニューヨーク・グローブ紙を含めた協同組合の一部として設立)で連載されるようになった。同年、リプレーはノーバート・パールロスを調査員として雇った。パールロスはそれから52年間、ニューヨーク公共図書館で一コマ漫画のネタとなる、信じられないような事実を調べていくことになる。作業は週6日、一日10時間の体制で行われた。[2]
他の作家や調査者にはレスター・バイクもいた。1930年、リプレーは『ニューヨーク・アメリカン』紙へ移り、キング・フィーチャーズ・シンジケートに取り上げられ、国際的に配信されるようになった[3]。
リプレーは1949年に死去し、その後は新聞連載パネル漫画をポール・フレーム(1938年–1978年、1949年から専任作家)や弟のウォルター・フレーム(1948年–1989年)が担当した。ウォルターは兄ポールとともにパートタイムで働き、1978年から1989年までは専任作家となった。ほかにもクレム・グレッター(1941年–1949年)、ボブ・クラーク(1943年–1944年)、ジョー・キャンベル(1946年–1956年)、アート・スロガット(1971年–1975年)、カール・ドリーゼ、スタン・ランドールらが補助を務めた。ポール・フレームは1976年に本シリーズでの業績により全米漫画家協会(National Cartoonists Society)の新聞パネル漫画賞を受賞した。クラークは後に『マッド』誌で「世界奇談集」のパロディを制作し、ウォリー・ウッドやアーニー・コヴァックスも同様にテレビ番組で『Strangely Believe It!』(直訳:「奇妙に信じるか否か!」)と題した風刺を繰り返し行った。ラルフ・グラチャックのラルフ・グラチャックの『Our Own Oddities(私たちの奇妙な出来事)』、ジョン・ヒックスの『Strange as It Seems(それほど奇妙に見える)』、ゴードン・ジョンストンの『It Happened in Canada(カナダで起こったこと)』など、リプレーのデザインや形式を借用した漫画や書籍も登場した。1989年から2004年まではドン・ウィマーが[4]、2005年から2021年まではジョン・グラツィアーノが担当し[5]、現在はキーラン・カスターニョがリプレー調査チームの支援を受けて制作している[6]。
人気の最盛期には、この連載漫画は1日あたり約8,000万人に読まれており、1932年5月の最初の3週間だけでリプレーには200万通を超えるファンレターが届いた。新聞パネルを再録したペーパーバック版も数十冊刊行されている。近年の『リプレーの世界奇談集』の書籍は、新しい内容に加え、イラストに写真を補足する形で出版されている。
『ピーナッツ』の作者チャールズ・M・シュルツが初めて商業的に掲載された作品もリプレーによるもので、彼の飼い犬スパイクを「画鋲、鋲、ネジ、釘、カミソリの刃を食べる猟犬」と紹介した漫画であった[7]。この犬は後にスヌーピーのモデルとなった[8]。
書籍
有名な作品:
- Believe It or Not! by Ripley The Big Little Book (1931)
- Ripley's Believe It or Not (1929), reprinted in 2004
- Ripley's Mammoth Book of Believe It or Not (1953)
- Ripley's Giant Book of Believe It or Not (1976)
- Ripley's 35th Anniversary Believe It or Not (1954)
- Ripley's 50th Anniversary Believe It or Not (1968)
- Ripley's Believe It or Not Special Edition 2012 (2011)
新聞特集記事の注釈つきイラストが掲載されたペーパーバック本:
- Ripley's Believe It or Not 1st Series (1941)
- Ripley's Believe It or Not 2nd Series (1948)
- Ripley's Believe It or Not 3rd Series (1954)
- Ripley's Believe It or Not 4th Series (1982)
日本での受容
リプレーの著作は、日本では庄司浅水の翻訳により、1951年に原題を直訳した『信じようと信じまいと』という訳題で紹介され、その後、再刊の際に『世界奇談集』と改題された。2022年に河出書房新社から復刊された版では『信じようと信じまいと』の訳題に戻されている。
- 『信じようと信じまいと 世界中のうそのようなほんとうの話』(リプレー著、庄司淺水訳、東和社) 1951年
- 『世界珍談奇話事典』1 - 2(R.L.リプレー著、庄司浅水訳編、朋文堂) 1955年 - 1956年
- 『リプレーの世界奇談集』1 - 5(ロバート・レロイ・リプレー著、庄司浅水訳、朋文堂) 1959年 - 1960年
- 『世界奇談集 ウソのような本当の話』1 - 3(R・リプレー著、庄司浅水訳、河出書房新社、河出文庫) 1986年 - 1988年
- 『信じようと信じまいと』(R.L.リプレー文・絵、庄司浅水訳、河出書房新社) 2022年 ISBN 978-4-309-20857-2
脚注
- ^ Thompson, Neal (2014). A Curious Man: The Strange & Brilliant Life of Robert "Believe It Or Not!" Ripley. Crown/Archetype. p. 115
- ^ “"Norbert Pearlroth, 89, Researcher For 52 Years For 'Believe It Or Not'"”. The New York Times (1983年4月15日). 2024年3月4日閲覧。 “Norbert Pearlroth, who combed hundreds of thousands of books in the New York Public Library over 52 years as sole researcher for Ripley's Believe It or Not, died of heart and kidney diseases Thursday at Maimonides Hospital in Brooklyn. He was 89 years old and lived in Brooklyn.”
- ^ Thompson, A Curious Man, pp. 163–165.
- ^ Not!, Ripley's Believe It or (1996年4月4日). “Ripley's Believe It or Not by Ripley's Believe It or Not! for April 04, 1996 | GoComics.com”. GoComics. 2025年9月4日閲覧。
- ^ Not!, Ripley's Believe It or (2025年4月28日). “Ripley's Believe It or Not by Ripley's Believe It or Not! for April 28, 2005 | GoComics.com”. GoComics. 2025年9月4日閲覧。
- ^ “About Ripley's Believe It or Not”. gocomics.com. 2025年9月4日閲覧。
- ^ Mendelson, Lee『Charlie Brown & Charlie Schulz』The World Publishing Company、1970年。
- ^ Schulz, Charles M.『Around the world in 50 years: Charlie Brown's anniversary celebration』Andrews McMeel Publishing、1994年、11頁。 ISBN 978-0-8362-1766-7 。
「信じようと信じまいと」の例文・使い方・用例・文例
- 信じようと信じまいとのページへのリンク