仮説証明授業の提唱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 07:32 UTC 版)
1993年に板倉は「数学でも仮説実験授業のようなたのしい授業が可能である」ということを明らかにし、その授業を「仮説証明授業」と呼ぶことを提唱した。このとき板倉は、「数学というのは実験で真理が決まるのではなくて、〈証明〉という手続きによって真理が決まる」という考えを述べている。そして、板倉は「これまでの数学の授業が楽しくならなかったのは、「実験がないからではなくて、魅力的な仮説が提示されていないために、その証明を理解する意欲も生じなかったからだ」と考えるべきだ」。従来の数学教育では「あまり分からせよう、分からせようと努力するからいけない」「あまりにも一生懸命に「これはこうでしょ、これはこうでしょ」とたたみかける。それでつまらなくしているんです。分かりやすくさえすれば数学が楽しくなると勘違いしている。分からせることだけを大切にして、楽しさを犠牲にしている」と従来の数学教育の問題点を明らかにした。そこで板倉は「これまでの数学教育は〈証明の仕方がまずかった〉というよりも、〈証明しよう〉という意欲を起こさせるのに失敗してきた」のだと考えたのである。その問題の解決のためには「証明の前に仮説がはっきり提示されていることが重要である」から、「数学の授業でも(科学の授業と)同じようにして、証明の前に仮説をはっきりさせるようにした「仮説証明授業」をやれば、それでたのしい授業ができそうだ」と考えた。板倉は仮説証明授業を具体化した、授業書案〈勾配と角度〉を発表し、実際に数学でも仮説実験授業と同等なたのしい授業が実現できることを示している。これ以降、数学教育も実験科学の研究対象として確立し、仮説証明授業の授業書が作られていった。
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