代位行使の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 15:15 UTC 版)
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる(423条の2)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で代位行使の範囲の判例法理が明文化された。 AはBに1,000万円貸している。他方、BはCに対して2,000万円の売掛代金債権を持っている。Bが債務超過に陥ったため、Aは自己の1,000万円の債権を被保全債権として、BのCに対する売掛代金債権を代位行使した。 Aの被保全債権は1,000万円であるが、代位行使される債権はその倍、2,000万円である。この場合、Aは2,000万円の売掛代金債権のうち、自己の債権額の範囲でのみ行使しうるというのが判例・通説の立場であった。つまりAは2,000万円のうち1,000万円しかCに対して請求できない。以上の判例法理(最高裁判所昭和44年6月24日第三小法廷判決民集23巻7号1079頁)は2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で423条の2に明文化された。
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