人間のありようの神格化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 02:20 UTC 版)
ヘーシオドスのうたうところでは、ニュクスはさらに単独で多数の神々を生んだとされる。これらは「人間の存在のありよう」についての概念の神格化が多い。ホメーロスによれば、ニュクスはゼウスにさえ恐れられ尊ばれている女神であると言われる。 ほぼ死を意味する同義語とも考えられる、忌まわしいモロス(Moros、死の定業)、死の運命であるケール(Ker)、またタナトス(Thanatos、死)を生んだ。次いでヒュプノス(眠り)とオネイロス(夢)の一族を生み出した。更に、モーモス(momos、非難)とオイジュス(Oizys、苦悩)を生んだとされる。 義における憤りに基づく復讐の女神であるネメシス(Nemesis、義による復讐)や、アパテー(Aphate、欺瞞)、ピロテース(Philotes、愛欲)、ゲーラス(Geras、老年)、そして人間の苦しみの大きな原因とも言える「争い」の女神エリス(Eris、争い)もニュクスの子である。エリスからは戦争や殺戮や、人間の為す悪しきことごとの擬人化・神格化と言える神々が生まれている。なかでもアーテー(Ate、迷妄による破滅)は古代ギリシアの倫理思想において大きな意味を持ち、多くの詩や歌がアーテーについてうたっている恐ろしい女神であった。
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