二セレン化炭素とは? わかりやすく解説

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メタンジセロン

分子式CSe2
その他の名称Carbon diselenide、二セレン化炭素、Methanediselone
体系名:炭素ジセレニド、メタンジセロン


二セレン化炭素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/29 01:27 UTC 版)

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二セレン化炭素
識別情報
CAS登録番号 506-80-9 
PubChem 68174
ChemSpider 61481
特性
化学式 CSe2
モル質量 169.93 g/mol
精密質量 171.833044
外観 黄色液体
密度 2.69 g/cm3
融点

−43.7 °C

沸点

125.5 °C

への溶解度 水に不溶
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

二セレン化炭素(にセレンかたんそ、Carbon diselenide)は、CSe2の化学式で表される無機化合物である。黄色からオレンジ色の油状の液体で、刺激臭を持つ。二硫化炭素(CS2)のアナログ化合物である。光感受性を持ち、水に不溶で有機溶媒に可溶である。

合成、構造、反応

二セレン化炭素は、D∞hの対称性を持つ直線状分子である。セレン粉末をジクロロメタン蒸気と550℃近くで反応させることによって得られる[1]

2 Se + CH2Cl2 → CSe2 + 2 HCl

熱い管中で、セレン化水素四塩化炭素を反応させたGrimmとMetzgerによって1936年に初めて報告された[2]

二硫化炭素と同様に、二セレン化炭素は、高圧化で重合する。重合体の構造は、–[Se–C(=Se)–C(=Se)–Se]–の主鎖を持っていると考えられている[3]。重合体は、室温で50 S/cmの伝導率を持つ半導体である。

さらに、二セレン化炭素は、有機半導体や有機超電導体の合成に用いられるテトラチアフルバレンのセレン化アナログであるテトラセレナフルバレンの前駆体である[4]

二セレン化炭素は、第二級アミンと反応して、ジアルキジセレノカルバミン酸塩を生成する[1]

2 Et2NH + CSe2 → (Et2NH2+)(Et2NCSe2)

安全性

二セレン化炭素は高い蒸気圧を持つ。毒性があり、吸入による障害を引き起こす。この危険性は、膜輸送が容易であることに依っていると考えられている。貯蔵されると、分解は遅い(30℃で1カ月に約1%)。商業的に手に入れる際は、高価である[5]

二セレン化炭素は、空気と混ざるとひどい悪臭を発する[6]。その臭いは、1936年に初めて合成された際に、近くの村が避難させられたほどである。漂白剤で酸化させることによって、悪臭は中和される[7]

出典

  1. ^ a b Pan, W.-H.; Fackler, J. P. Jr.; Anderson, D. M.; Henderson, S. G. D.; Stephenson, T. A. (1982). “2. Diselenocarbamates from Carbon Diselenide”. In Fackler, J. P. Jr.. Inorganic Syntheses. 21. pp. 6–11. doi:10.1002/9780470132524.ch2. ISBN 9780470132524. 
  2. ^ Grimm, H. G.; Metzger, H. (1936). “Über Darstellung und Eigenschaften des Selenkohlenstoffs”. Berichte der deutschen chemischen Gesellschaft (A and B Series) 69 (6): 1356–1364. doi:10.1002/cber.19360690626. 
  3. ^ Carraher, C. E. Jr.; Pittman, C. U. Jr. (2005). “Poly(Carbon Disulfide), Poly(Carbon Diselenide), and Polythiocyanogen”. Inorganic Polymers 21. doi:10.1002/14356007.a14_241. ISBN 3527306730. 
  4. ^ Engler, E. M.; Patel, V. V. (1974). “Structure control in organic metals. Synthesis of tetraselenofulvalene and its charge transfer salt with tetracyano-p-quinodimethane”. Journal of the American Chemical Society 96 (23): 7376–7378. doi:10.1021/ja00810a042. 
  5. ^ Carbon Diselenide CSe2”. Cse2.com. 2012年4月4日閲覧。
  6. ^ Wolfgang H. H. Gunther. Organic Selenium Compounds: Their Chemistry and Biology. "carbon diselenide has by far the worst odor this author has experienced in his lifetime of working with selenium compounds" 
  7. ^ Derek Lowe. “Things I Won't Work With: Carbon Diselenide”. In the Pipeline. Corante. 2012年4月4日閲覧。


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