滴定の模式図。ビュレット から試薬を少しずつ滴下し、pH 変化を測定する。
中和滴定曲線 (ちゅうわてきていきょくせん)とは、酸と塩基 の中和 滴定 における、水素イオン指数 変化をグラフ にしたものである。ここでは水溶液 中における中和滴定曲線について、その求め方について解説する。
曲線の求め方
水素イオン指数
p
H
{\displaystyle \mathrm {pH} \,}
0.1mol/l塩酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定
以下のように近似してもほとんど同じ結果を与える。
滴定開始から当量点まで は、二次方程式の
K
w
{\displaystyle K_{w}\,}
0.1mol/l酢酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 酢酸のpK a = 4.76
0.1mol/lシアン化水素10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 シアン化水素酸のpK a = 9.21
また以下のような近似が可能であるが、滴定初期および当量点付近で誤差 が大きくなる。
滴定前 は酢酸の電離度 を考える。電離により生成した水素イオンと酢酸イオンの濃度が等しく、電離度が小さいため、未電離の酢酸の濃度
[
CH
3
COOH
]
{\displaystyle [{\mbox{CH}}_{3}{\mbox{COOH}}]\,}
0.1mol/l塩酸10mlを0.1mol/lアンモニア水で滴定 アンモニウムイオンの
p
K
a
=
9.24
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a}=9.24}
0.1mol/l塩酸10mlを0.1mol/lピリジン水溶液で滴定 ピリジニウムイオンの
p
K
a
=
5.20
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a}=5.20}
0.1mol/l酢酸10mlを0.1mol/lアンモニア水で滴定
また以下のような近似が可能であるが、滴定初期および当量点付近で誤差が大きくなる。
滴定前 は酢酸の電離度を考える。電離により生成した水素イオンと酢酸イオンの濃度が等しいと近似して
p
H
≒
1
2
(
p
K
a
−
log
10
C
A
0
)
{\displaystyle \mathrm {pH} \fallingdotseq {\frac {1}{2}}({\mbox{p}}K_{a}-\log _{10}C_{A0})}
0.1mol/l硫酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 硫酸の
p
K
a
2
=
1.92
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a2}=1.92}
0.1mol/lシュウ酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 シュウ酸の
p
K
a
1
=
1.27
,
p
K
a
2
=
4.27
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a1}=1.27,{\mbox{p}}K_{a2}=4.27}
0.1mol/l炭酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 炭酸の
p
K
a
1
=
6.35
,
p
K
a
2
=
10.32
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a1}=6.35,{\mbox{p}}K_{a2}=10.32}
0.1mol/l酒石酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 酒石酸の
p
K
a
1
=
3.04
,
p
K
a
2
=
4.36
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a1}=3.04,{\mbox{p}}K_{a2}=4.36}
0.1mol/l硫化水素酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 硫化水素酸の
p
K
a
1
=
7.02
,
p
K
a
2
=
13.9
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a1}=7.02,{\mbox{p}}K_{a2}=13.9}
0.1mol/lリン酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 リン酸の
p
K
a
1
=
2.15
,
p
K
a
2
=
7.20
,
p
K
a
3
=
12.35
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a1}=2.15,{\mbox{p}}K_{a2}=7.20,{\mbox{p}}K_{a3}=12.35}
0.1mol/lクエン酸10mlを0.1mol/l水酸化ナトリウムで滴定 クエン酸の
p
K
a
1
=
3.13
,
p
K
a
2
=
4.76
,
p
K
a
3
=
6.40
{\displaystyle {\mbox{p}}K_{a1}=3.13,{\mbox{p}}K_{a2}=4.76,{\mbox{p}}K_{a3}=6.40}